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残業代が出ない会社には理由がある!14の違法パターンのアイキャッチ

残業代が出ない会社には理由がある!14の違法パターン

残業代が出ない会社には理由がある!14の違法パターンのアイキャッチ

 みなさんは以下のように定時を過ぎて働いているにも関わらず、残業代が出ないという経験はありませんか?

「休日出勤しても残業代が出ない。」
「タイムカードで勤怠管理されていないから、定時過ぎて働いても残業扱いにならない。」
「毎日30分以上は残業しているのに、勤怠では1日8時間しか働いていないことになっている。」

 このように残業代が出ないケースというのは少なくないようです。それを裏付けるデータとして、日本法規情報が2016年に公表した「残業代に関する実態調査」というものがあります。

 この調査結果では、「残業をしたことがあるかどうか」という質問に対して、94%が「残業をしたことがある」と回答しました。その中で「月の残業代はいくらか」という問いに対して、なんと約3人に1人の割合に当たる28%の方が「残業代は出ない」と答えたのです。

 このデータから言えることは、人によって「残業代が出ないとしても定時を過ぎて働くことは当たり前になっている」ということかもしれません。しかし、働いた分の賃金を会社から支給されることは労働者として当然の権利です。
それにも関わらず、なぜ「残業代が出ない」ことが当たり前のことのようになってしまったのでしょうか。

そこで本記事では、「残業代が出ない」理由についてご説明させていただきます。

「残業代が出ない」は違法の可能性あり

 会社は残業をした労働者に対して、働いた分の残業代を支払う義務があります。しかし、近年の労働契約の複雑化により、会社は労働基準法の隙を突いて、独自のルールで「残業代が出ない」理由をつくるのです。このような場合、違法の可能性が考えられます。

 労働契約が複雑になったことで、労働者は「国が定めた労働基準法」と「会社が独自で決めたルール」に相違があることに気づくのが難しくなっています。
 そのため、会社から「これは社内ルールで、就労規則で決まっていることだから」と言われると、労働者は納得してしまう傾向にあるのです。

会社独自の「残業代が出ない」ルール14パターン

 当然、会社である程度のルールを作ることは出来ます。但し、それは労働基準法を守ったうえでのことです。労働基準法から逸れた会社独自のルールは違法に該当する可能性があります。
 例えば、以下のケースが挙げられます。

➀管理職で残業代が出ない

 労働基準法では、「管理監督者には残業代を払わなくてもよい」という内容があります。この内容を踏まえ、会社は部長や支店長等の管理職の労働者に、残業代を支払わないことがあるのです。

しかし、管理監督者に関しては労働基準法で明確な規定があります。あくまでも「管理職」=「管理監督者」ではないのです。
管理職で残業代が出ないという方は、違法に残業代の支給がされていないかもしれません。詳しくはこちらの記事を一読ください。

②フレックスタイム制で残業代が出ない

 フレックスタイム制については、労働基準法で「1日8時間以上働いても残業代の支給をしなくてもよい」という内容があります。それを踏まえ、会社はフレックスタイム制の労働者に残業代の支給をしないケースがあるのです。

 しかし、フレックスタイム制については残業代について明確な規定があります。決して「フレックスタイム制」=「残業代が出ない」というわけではありません。
フレックスタイム制で残業代が出ないという方は、違法に残業代の支給がされていないことが考えられます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

③裁量労働制で残業代が出ない

 労働基準法では、裁量労働制について「労働時間ではなく成果に対して賃金を支払う」という内容があります。このことから、会社は裁量労働制の労働者に対し、賃金に似合わない長時間労働を強いたうえに、残業代を支払わない場合があるのです。

 とはいえ、裁量労働制も残業代についての明確な規定が設けられています。「成果に対して賃金を支払う」=「残業代は発生しない」というわけでないのです。
裁量労働制で残業代が出ないという方は、サービス残業をさせられている可能性は否定出来ません。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

④みなし労働時間性で残業代が出ない

 みなし労働時間制については、労働基準法で「実際に働いた時間に関係なく、あらかじめ決めておいた時間を労働したものと見なす」といった内容があります。これにより、会社はみなし労働時間性の労働者に対し、事前に定めた時間以上の労働をしたとしても残業代を支給しないことがあるのです。

 しかし、みなし労働時間制は残業代について明確な規定があり、「みなし労働時間性」=「あらかじ決めておいた時間以上の労働をしても残業代は出ない」とは限らないのです。
 みなし労働時間性で残業代が出ないという方は、違法に残業をさせられている可能性があります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

⑤固定残業代が含まれているため残業代が出ない

 固定残業代は、基本給の中に既に残業代が含まれていることを指します。この固定残業代は外回りをする営業職等のように、労働時間の管理が難しい労働者を対象にした制度です。
 
雇用契約書等で、「月給30万円(20時間分の残業代3万円を基本給に含む)」といったように明確な時間を記載して労働契約を結ぶ必要があります。そのため、記載された時間以上の労働をした場合、残業代を支払われなければなりません。

 ここで注意しなければならないのが「月給25万円(一律残業手当)」のように時間が記載されていない文言です。このような場合、会社は「うちの会社では、基本給の中にあらかじめ残業代が含まれているからある程度の残業は仕方ない」等と言って、労働者にサービス残業をさせている可能性が考えられます。

⑥年俸制で残業代が出ない

 年俸制は、実際の労働時間に関わらずあらかじめ決めた給与のみ支払えばよいというわけではありません。法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超える労働をした場合は、年俸とは別に、労働者に残業代を支給しなければいけません。

 また、年俸制には「1ヶ月あたり20時間分の残業代を含む」といったケースもあります。これは前述の固定残業代と同様、決められた時間を超えた分に関しては残業代を支払わなければいけません。

⑦歩合制で残業代が出ない

 歩合制も年俸制と同様、法定労働時間を超えるようであれば残業代は出ます。また、「1か月あたり15時間分の残業代も含む」といったように、あらかじめ決められた時間分の残業代が含まれている場合も、その時間の超過分に関しては残業代が発生するのです。

⑧変形労働時間性で残業代が出ない

変形労働時間制については、労働基準法で「一定期間(1日や1週等)労働者を何時間でも労働させることが可能」という内容があります。これにより、会社は変形労働時間性の労働者に対し、残業代を支給することなく長時間労働を強いることがあるのです。

 しかし、変形労働時間制についても残業代の明確な規定が設けられています。もし「変形労働時間制」=「一定期間は長時間労働しても残業代は発生しない」と解釈しているのであれば、それは誤解です。
 労働時間の長い週と短い週を平均した時、法定労働時間を超えるようであれば、超えた分に関しては残業代が発生します。

⑨定時を過ぎるとタイムカードが押せない

 「うちの会社では残業は禁止だから」等という理由で、会社は労働者に定時でタイムカードを押させた後、引き続き労働をさせることがあります。
 会社が残業を認めていないのであれば、労働者は出来る限り定時で帰れるように業務を進めていく努力は必要です。しかし、明らかに時間内で終わるような仕事量でない場合は、会社に非があると言えるでしょう。

 労働基準法において「会社独自のルールで残業を禁止することが出来る」という規定はありません。タイムカードを押した時間に関わらず労働者は働いた分の残業代を支給される権利があるのです。

⑩残業時間の上限を決めて超過分をカット

 会社によっては、「残業代は月15時間まで」といったように独自で上限を設けることがあります。このような会社は、上限を超えた時間に関しては残業代を支払いません。しかし何度か述べた通り、会社には時間外労働をした分の残業代を労働者に支払う義務があります。
ここでポイントとなるのが「任意規定」「強行法規」の2点です。

・任意規定とは
 当事者間の合意があれば、法律よりも優先するルールを定めることが出来る規定です。

・強行法規とは
 任意規定とは反対に、当事者同士の合意があっても、法律より優先するルールを定めることが出来ない法規のことです。そのため、強行法規に反するルールを当事者間で定めたとしても、そのルールは無効になります。

 「残業代の支払い義務」は「強行法規」に該当します。たとえ「残業代は月15時間まで」と明記してある雇用契約書を締結したとしても、違法な契約として無効になるのです。そのため、15時間以上の時間外労働をしても残業代は発生します。

⑪持ち帰り残業

 自宅で仕事をする持ち帰り残業は、時間外労働に該当することがあります。会社からの指示で持ち帰り残業をする場合は、労働時間に該当することが考えられるため、残業代が出る可能性があるのです。

→労働時間の定義についてはこちらで詳しく説明をしています。

⑫朝残業

 一般的に、残業は終業時間以降の労働を指すと捉えがちです。しかし、始業時間以前に労働することも残業に当たります。仕事が終わりそうにないため朝早めに出勤したり、始業30分前に朝礼に参加するために実際の始業時間より早く出勤したりする場合等には、朝残業の当たるため、残業代が発生するのです。

⑬欠勤を残業代で相殺

 残業をした賃金分を欠勤した時間で相殺するという方法があります。これに関しては過去に、労働者と会社の間で合意がある時に限り相殺が認められた、という判例がありました。そのため、会社から「欠勤が〇日あるから今月の残業代はない」といったように、一方的に残業代の相殺を告げられた場合は違法に当たる可能性があります。

⑭単数切り捨て

 労働基準法では、 1ヶ月の労働時間を通算して、30分未満の単数を切り捨て、30以上の単数は1時間に切り上げて計算するという四捨五入の考えは認められています。
 しかし、1日単位での四捨五入の計算は認められていません。そのため例えば、20分の時間外労働をした日の残業代がカットされてしまう場合は、違法の可能性があります。

未払いの残業代を請求する場合

オフィス・仕事場

 では、上記で挙げたパターンのいずれかに該当し、未払い残業代の請求を検討している方は、まず何をすればよいのでしょうか。
 それについては、こちらの記事「会社に荒波を立てずに残業代を請求する方法」で詳しく説明をしていますので読んでみてください。残業代の請求に向けてするべきことが理解出来るでしょう。

残業代が出ないことが多い職種

 また、残業代の未払いが発生しやすい職種もあります。これは、古くからある業界特有の体質や、残業代の支払いに対する意識の低さが要因になっていると考えられます。
特に以下の職種は残業代が出ないことが多いです。

➀市区役所や町村役場に勤務の公務員

 市区役所や町村役場に勤務する公務員は、窓口が閉まったらすぐ帰宅するというイメージがありますが、必ずしもそうとは限りません。窓口が閉まった後も、公共工事や図書館・公園・学校等の公共施設の管理運営、市民向けイベントの発案・実行等、多くの仕事をこなさなければならず定時で帰ることは、ほぼないのです。

 とはいえ、公務員の給料は国の税金から支払われることから、公務員の給与には予算が決められています。そのため、予算内に収められるように残業代を支払わない市区役所や町村役場は多いのです。

②飲食・アパレル関連

 飲食やアパレル業界では、社員が各店舗に数名配属されます。多くのお店ではアルバイトの稼働時間を増やすと、その分給料の支払いが増加するため、社員にサービス残業をさせているのです。
 特に店長は、「名ばかり管理職」として役職手当に見合わない程の長時間の残業を強いられているケースが多いのです。

③IT関連

 IT業界では、SE(システムエンジニア)やプログラマー、デザイナー等の残業が多いです。仕事の性質上、緊急の対応が求められることが多く、時間外労働が発生しがちです。
 また、急速にIT化が進んだため、業界自体の人材不足から知識や技能を持った限られた人の業務が集中し、残業が蔓延化しているとも考えられます。

④工事・土木関連

 残業代未払いの事件数が特に多いのが工事・土木関連の業界です。特に工事に関する仕事は決まった時間に終業するわけではありません。工事をするための準備をはじめ、点検、報告等、業務が多岐に渡るうえに、人手不足から1~2人といった業務量に対して少人数で対応しなければならないことが多いのです。

 そのため、会社は労働者に慢性的に残業をさせているという実態があります。

⑤塾講師

 塾講師の仕事は、残業代が出ないことが多いです。生徒のために、授業後にマンツーマンで長時間指導するという先生が多くいます。しかし、塾側は残業代を支払う意識が低い傾向にあります。。そのため、塾講師の仕事は残業代の未払いが発生しやすい職種になっているのです。

 以上の職種の他に、こちらの記事に載っている残業時間が多い職種も残業代の未払いがある可能性が考えられます。併せてご覧ください。

まとめ

 会社独自のルールで「残業代が出ない」というケースは、以上でご説明させていただいた通り違法の可能性があります。しかし、労働者には働いた分の賃金を支給される権利があります。よって、無賃金で働いて損をしてしまうのは労働者なのです。
 もし、本記事を読んでサービス残をさせられていると感じているのであれば未払いの残業代の請求を検討してみてください。

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