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公務員の「残業無し定時退社」は都市伝説だった!?のアイキャッチ

公務員の「残業無し定時退社」は都市伝説だった!?

公務員の「残業無し定時退社」は都市伝説だった!?のアイキャッチ

 公務員といえば「残業なしの定時退社」というイメージがあります。残業があることが当たり前のビジネスマンにとっては羨ましい限りでしょう。
 
しかし本当に、公務員には残業はないのでしょうか?
本記事では、公務員の残業の実態についてお伝えさせていただきます。

「公務員は残業がない」は間違った固定観念

 しばしば、テレビや新聞等のメディアで公務員の平均残業時間が公表されます。数年前では霞が関で働く国家公務員の平均残業時間が話題になりました。

2014年7月30日付の毎日新聞によると、霞が関で働く国家公務員2754人に「月の残業時間」についてのアンケート調査を実施した結果、平均37時間、前年に比べ2.4時間増えていたことが判明したのです。

 さらにこの調査を見ていくと「休日出勤あり」は60.3%、残業時間の過労死ラインといわれている「月80時間残業している」と回答をした人は8.5%にも上っていました。
 このアンケート結果により、「公務員は残業がない」というのは間違ったイメージであることが分かったのです。

市区町村役場の職員は定時で帰れない

 また、残業があるのは霞が関で働く国家公務員だけではありません。市区町村役場で働く地方公務員も例外ではないのです。
市区町村役場は受付窓口が通常17時で閉まるため、「市役所の職員は定時で帰る」というイメージがあります。

しかし実は、窓口対応をしているのは新規採用された1年目の職員か、パート・非正規職員なのです。あるいは窓口業務を外注しており、民間企業のスタッフが窓口対応をしています。

 つまり市役所で働く正規の公務員は、窓口が閉まったらすぐ帰宅するというわけではありません。窓口が閉まった後も、公共工事や図書館・公園・学校等の公共施設の管理運営、市民向けイベントの発案・実行等、多くの仕事をこなしています。そのため、まず定時で帰ることはほとんどありません。

公務員の残業代は税金から支払われている

 定時で帰れなかったとしても民間企業の場合は、時間外労働をすればその分の残業代が支給されます。しかし、公務員の場合は違うのです。
 公務員の給料は国の税金から支払われます。残業代も例外ではありません。

 しかし、市区町村役場で働く地方公務員であれば、課によってその年の残業代の予算があり、その範囲内の残業代しか支払わせない決まりになっているのです。

そのため、予算が多めの市区町村役場では十分な残業代は支払われますが予算が少ない市区町村役場では適切な残業代が支払われないおそれがあるのです。

 2015年に総務省が発表した「地方公務員各都道府県データ」によると、平均月給が一番高いのが浦安市役所(千葉県)で、最も低いのが青ヶ島村役場(東京都)です。

そこで、この2か所の平均月給の違いを比べてみましょう。

基本給 諸手当 総額
浦安市役所(千葉県) 345,000円 146,443円 491,443円
青ヶ島村役場(東京都) 242,700円 12,717円 255,417円

注目すべきは諸手当が10万円以上の差があるという点です。浦安市役所の諸手当の内訳を見ると、最も大きいのが「時間外勤務手当」の64,347円で、続いて「地域手当」の44,400円です。
一方で青ヶ島役場では「時間外勤務手当」がなし、「地域手当」もないのです。

 以上のように、地方公務員は働く市長区村役場によって待遇は全くと言っていいほど違ってくるのです。

教師はサービス残業の宝庫

 ある一定の範囲の残業代しか出ないというのは、教育系公務員の教師も同様です。教師の場合は、雑務が多かったり部活を担当すると激務になったりと、残業が多いのにも関わらず少しの時間外手当しか支給されません。

 最近、東京都の中学校教師による過酷な勤務実態がニュースになりました。このニュースにより以下の現状が明らかになったのです。

➀教師は残業をしても残業代が支払われない
②残業代が支給されない代わりに時間外手当として、基本給の4%が給料に上乗せされる
③基本給の4%というのは1966年の時間外労働の平均、月8時間を基にしたものである
④現在は、6割近い教師が月80時間以上の時間外労働をしている

特に④に関しては過労死ラインを超えるような時間外労働をしているのにも関わらず、教師にはスズメの涙程度の手当しか支給されないのです。

「過労死ライン」についてはこちらで詳しく説明をしています。

 平成25年に適用されたある県の新卒中学校教師の初任給は242,500円でした。そこで例えば、基本給242,500円の教師Aさんがいるとしましょう。
 Aさんが、過労死ラインである80時間の時間外労働をした場合は、以下のような計算となります。

242,500円(基本給)×4%=9700円(時間外手当)
9,700÷80時間(時間外労働)=121円(時間外労働の時給)

 Aさんは時給たった121円で時間外労働をしていることになります。これが中学校で働く公務員の現状です。ブラック企業に値する過酷な労働と言っても過言ではありません。

公務員の残業には上限がない

教師の過労死ラインを超えるような残業は、民間企業の場合では労働基準法違反になります。労働基準法では月45時間が残業の上限として定められています。しかし、公務員は労働基準法が適用されません。

なぜ公務員には労働基準法が適用されないのでしょうか。それは以下の2点が考えられます。

➀国民に奉仕するため

公務員は国民に奉仕する意味合いが強いため、労働者として保護しなければならないという必要性が低いです。

②人手不足のため

公務員の人数は1994年の328万人をピークに、2014年には275万人にまで減少をしています。
現在、市区町村役場は仕事が回らない程の人手不足です。繁忙期には徹夜で仕事をする等、ますます労働環境は悪化しています。公務員の人数減少と共に、公務員に払う給与の予算も減っているのです。

以上のことから、公務員を労働基準法で守ると労働時間に制限が発生する=人手不足に拍車がかかるという背景があります。よって公務員には残業時間の上限が設けないという国の目論見があるようです。

市役所で働いている公務員Bさんの話

徹夜

 Bさんは地方公務員として、市役所の防災部で働いています。
 
近年では災害が多く、地震や台風等の災害による警報が発表される度に、Bさんは家に帰らず庁舎に泊まり込みをしなければなりません。この時、基本的にはいつでも動けるように警報が解除されるまで市役所で待機し、夜には2回ほど担当区域のパトロールをするというのが業務としてあります。

災害警報が解除されるのは、日をまたいだ朝ということはよくあることです。しかし、この場合でも朝の9時からは通常通り仕事をしなければいけません。そのため一旦家に帰ることはせず、その日の業務をこなします。

防災部の残業は月200時間を超えることは珍しくありません。もちろんその分の残業代は出ません。

 昨今では災害が起きた際、市区町村役場の職員がすぐ行動に移せるようスタンバイをしていなければ、不祥事としてすぐにマスコミに取り上げられるまでになっています。そのため、現在では災害が起こりそうな状況では、事前に待機するという体制にシフトチェンジをしています。

よって、庁舎での泊まり込みが年々増えているのが市区町村役場の職員の過酷な現状なのです。

まとめ

 公務員のイメージである「残業無し定時退社」というのは都市伝説だということがお分かりいただけたでしょうか
 と言うのも、Bさんの話のように公務員には特殊な残業事情があり、職場によってはブラック企業並の過酷な職場も存在します。

「楽をしたい」という理由だけで公務員という職業を選択してしまうと後悔しかねません。そこには一見分かりませんが、公務員ならではの魔物が潜んでいることの方がよっぽど都市伝説と呼べるでしょう。

 とはいえ、全ての公務員が過酷な労働を強いられるというわけではありません。公務員への転職を考えている方は、本記事をぜひ参考にして実りのあるワークライフにしてください。

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