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”デザイナーの残業は当たり前”によって引き起こされた違法残業のアイキャッチ

”デザイナーの残業は当たり前”によって引き起こされた違法残業

”デザイナーの残業は当たり前”によって引き起こされた違法残業のアイキャッチ

デザイナーという職業は、次のように残業が当たり前になっている傾向にあります。

「毎日終電まで残業が当たり前」
「泊まり込みで仕事もざらにある」
「休日返上で働くのも当たり前」

 しかし、これらは違法に残業をさせられている可能性があります。
 本記事では、”デザイナーの残業は当たり前”という考えによって引き起こされた違法残業について深掘りしていきたいと思います。

平均残業時間

 ヤフー知恵袋の書き込まれている口コミを元に、デザイナーの平均残業時間を算出すると「56時間」という結果が出ました。
 全職種の平均残業時間が、厚生労働省が毎月発表している「毎月勤労統計調査」によって10時間程度と公表されているため、デザイナーの残業は非常に多いという実態がうかがえます。

なぜデザイナーの残業は多いのか

 ではなぜ、デザイナーの残業は多いのでしょうか。それには、以下のようなデザイナー特有の業務性質が関係しています。

【理由①】厳しい納期

 デザイナーの仕事には納期が決められているケースが多いです。その納期に間に合うよう業務を遂行しなければなりません。特に商品の販売開始日やサービスのリリース日、何かのキャンペーに合わせて特設サイトを作る場合等、スケジュールがタイトになりがちです。そのような時に残業が多くなる傾向にあります。

【理由②】クライアントの確認が遅い

 デザイナーには、次々と納期が決まった仕事が入るため、余裕を持ったスケジュールで業務に取り組みます。しかし、クライアントからのチェックが遅い上に再修正依頼等があれば、否応にも予定外の業務が増え余裕が消えます。ひっ迫した業務を納期までに何とか遂行するためにデザイナーは残業をするのが常態化しています。

【理由③】限度以上の仕事が追加される

 デザイナーの仕事は、1つの案件に対して大方の作業工数が決まっています。よって、引き受けられる案件数は限られています。
 ですが、クライアントにノーと言えない上司等がいると限度を超えた案件を引き受けてしまいます。そのツケがデザイナーに回り残業の増加に繋がっているのです。
 特にウェブ制作会社にこのような傾向が多く見られます。ウェブ制作会社は受託案件のため、クライアントから支払われる製作費が少額だったり、毎月の案件数が少なかったりすると、利益を上げるために限度を超えた案件数を引き受けなければならないのです。

なぜ残業が当たり前になっているのか

 またデザイナー業界では残業するのが当たり前という以下の風潮が長時間労働を助長しています。

【当たり前①】”残業万歳”が広がっているため

 バブル好景気を経験した1970代以降に生まれたデザイナーが残業をすることを肯定している傾向にあります。その背景には、彼らが通ってきた「働き詰めになって会社から認められれば大きな見返りが得られる」が影響しています。
 ですので、デザイナーという職種には”残業万歳”の風潮が広がっているのです。

【当たり前②】クリエイティブ職のため

 デザイナーという職種には「美に対するあくなき探求心を持つべき」という考えが蔓延しています。そのため、”美の探求者”としてデザインに取り組む姿勢がデザイナーには求められる傾向にあります。
この「美への探求」こそが、労働時間に捉われずに仕事に取り組むという概念を生み、「残業は当たり前」という悪しき風習を生む根源になっているとも言えるでしょう。

【当たり前③】新人デザイナーの作業スピードが遅いため

 新人デザイナーの場合、慣れていないため作業スピードは早くありません。にも関わらず、納期までに終わらせなければならないため、間に合うように残業せざるを得ません。
 「作業スピードが遅ければ残業でカバーをする」というのがデザイナー業界ではごくごく自然なことになっているのです。

以上、当たり前になっている理由①~③まで触れてきましたが、残業も歴とした労働時間です。残業時間が次項でお伝えする労働時間の定義に該当する場合、サービス残業になっている可能性が考えられます。

労働時間の定義とは

労働基準法32条では「労働者が使用者(会社等)の指揮命令下に置かれている時間」を労働時間と定める、といった内容が記述されています。
つまり、「労働者が使用者(会社等)の指揮命令下に置かれている」かどうかが労働時間の判断基準とされているのです。

これを、デザイナーに当てはめると、「➀会社側が行うように」「②会社側から命令された場合や寺内でせざるを得ない場合」の2つの条件が揃った場合に、労働時間と見なす、ということを示しています。
ちなみに、➀については必ずしも会社内である必要はなく、会社側から場所の指定をされていれば条件を満たします。

デザイナーと残業

 前述の①②を基に、デザイナーの場合どういった残業が労働時間に該当するのかを見ていきましょう。

定時で終わらない業務量による残業

 定時内で終わらせることが出来ない残業は、「①会社が行うように」と「②社内でせざるを得ない」に該当する可能性が考えられます。
 納期に間に合うようにする残業は、この場合に該当すると言えるかもしれません。

美に対する探求心による残業

会社から「美に対する探求心」を求められて残業をした場合、「①会社が行うように」に該当する可能性があります。但し、自主的に探究心を求めて残業をした場合は労働時間に当たらない可能性も考えられます。

みなし残業代制の場合

 また、デザイナーにはみなし残業代制を採用している会社も少なくありません。
 みなし残業代制とは、あらかじめ定められた時間数の残業代が給与に含まれている労働契約を指します。
 例えば、月20時間分のみなし残業代が含まれているとします。その場合、実際の残業時間に関わらず20時間分の残業代が支給されます。
 ですが、「月給25万円(3万円分のみなし残業代を含む)」といったように、何時間分の残業代が含まれているのかを明記せず、デザイナーにサービス残業をさせている会社も存在するのです。

デザイナーの残業問題を解決する方法

 サービス残業をさせられている場合、デザイナーはどのような対策をすればよいのでしょうか。主に以下の対策が挙げられます。

残業が少ない職場に転職する

 近年、デザイナーの求人を見ると「労働時間の少なさ」をアピールする以下のような文言が見受けられます。

・定時の10~18時で仕事を終えるのが理想
・短時間で質の高いアウトプットを目指すため労働時間は1日7.5時間
・デスマーチ(業務のひっ迫による過酷な労働状況)の無い開発
・自社のデザイナーの業務負担を軽減するために出デザイナーさんを募集します。

 これらの文言を見る限りでは、デザイナーを採用している会社でも労働環境の改善は進んでいると考えられます。
 そのため、労働時間の少なさをアピールしている企業に転職するのも一案でしょう

 また、インハウスデザイナー(社内サービスのデザインを担当するデザイナー)は残業が少ない傾向にあります。インハウスデザイナーへの転職も一手です。

残業代の請求を

 転職を検討していない方は、まず上司に相談をし、労働環境の改善を図ってもらいましょう。それでも動いてもらえない場合は、労働基準監督署に一度相談をしてみてください。

 また、未払い分の残業を請求するのも一手です。残業代の請求については下記の記事で詳しく説明をしています。未払い残業代請求に向けてするべき内容が理解出来るでしょう

まとめ

 デザイナーは残業が当たり前になっているがゆえに、時間外労働に対して労働賃金を支払うという意識が希薄になっている傾向にあります。
 しかし、労働者には労働をした分の賃金をもらう権利があります。もし、過度な残業を強いられているのであれば、未払い分の残業代を請求することを検討した方がよいでしょう。そのような会社にテコ入れすることにより、労働環境が改善に向かうかもしれません。

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編集部 (弁護士)編集部