残業代請求弁護士ガイド

残業代請求専門の弁護士検索・法律相談ポータルサイト

サービス残業って違法じゃないの?強要されても請求は可能?のアイキャッチ

サービス残業って違法じゃないの?強要されても請求は可能?

サービス残業って違法じゃないの?強要されても請求は可能?のアイキャッチ

みなさんはこのような残業をさせられていませんか?


「退勤間際に来客が入ってしまって残業…。」
「会議が長引いてしまって2時間も残業だよ…。」
「明らかに定時に終わらないような仕事を頼まれて泣く泣く残業…。」

これらの残業をした時、残業代はしっかり支払ってもらえていますか?もし、そうでないなら「サービス残業」をさせられている可能性があります。

労働者には残業代を支払ってもらう権利があります。それにも関わらず「サービス残業」をさせられているのであれば違法の可能性が考えられるのです。

そうならないためにも、労働者のみなさんはサービス残業についての理解しておきましょう。

サービス残業とは

サービス残業とは、労働基準法で定められている法定労働時間や、会社が定めた所定労働時間等を超えて働いた分に対しての賃金が支払わない労働のことを指します。
これは労働基準法37条の「時間外労働(残業)、休日に労働した場合は割増賃金を支払わなくてはならない」に違反しているため、罰則の対象になるのです。

・法定労働時間とは
労働基準法で定められている労働時間の限度のことを指します。原則として1日8時間、1週40時間と定められています。

・所定労働時間とは
会社が法定労働時間内で自由に定めた労働時間のことをいいます。

 とはいえ、サービス残業をした分はタイムカード等の記録に残っていないケースもあり、実態を把握することが難しい傾向にあります。

サービス残業の平均

 日本労働組合連合会による調査によると、1ヶ月のサービス残業の平均は16.7時間という結果が出ています。この調査は、正社員である正規労働者をはじめ、パートやアルバイト等の非正規労働者も含まれています。それぞれの平均時間は、下記の表の通り異なるのです。

平均サービス残業時間

 総じて、日本はサービス残業が普通になっている傾向にあると言えるでしょう。海外からは「日本人は働きすぎ!サービス残業なんてあり得ない」という反応をする外国人もいるほどです。

 また、上の表を見る限り、「一般社員」や「主任クラス」、「係長クラス」はいずれも18時間前後です。しかし、課長クラスになると28時間と急激に平均サービス残業時間が長くなります。
これは後述していますが、「名ばかり管理職」が大きく関係していることが考えられます。

サービス残業が発生する理由

では、サービス残業は法律違反にも関わらず、なぜ発生するのでしょうか。それには次の2つが理由に挙げられます。

理由➀企業側の問題

 サービス残業が発生する理由にまず企業側の問題が挙げられます。具体的には以下の3つです。

問題⑴経営陣の知識不足

会社の経営陣の中には労働基準法の知識が乏しい方がいます。その結果、うやむやにして残業代を支払わず、サービス残業が発生するケースがあるのです。

問題⑵経費削減

経費削減のために違法と知りながらサービス残業をさせている経営者も中にはいます。労働者側も「うちの会社は最近、経費削減しているから」等の理由から、仕方なくこの状況を受け入れ、サービス残業が常態化している企業は少なくありません。

問題⑶サービス残業が“当たり前”化している

サービス残業が“当たり前”化していることも理由に挙げられます。特に残業が多い業界等は「うちの業界ではサービス残業は当たり前」「他の会社もやっているから問題ない」といった考えが浸透している傾向にあるのです。

→残業が多い業界についてはこちらで詳しく説明をしています。

理由②労働者側の問題

 一方、労働者側の意識にも問題があるのです。大きく分けて以下の二つが挙げられます。

問題⑴上司の意識

 まず、上司の意識が問題になっています。現在、管理職に就いている労働者は、比較的バブル期を経験した方が多いです。バブル期の日本といえば、サービス残業が普通に行われていました。とはいえ、ボーナスや昇進への還元等、サービス残業に見合うものがあったため許されて時期だったのです。

その名残がある上司がいると、サービス残業が労働基準法に違反している行為であると知りつつも、部下は働きにくくなることを恐れて抵抗出来ずにいるというケースが起きているのです。

問題⑵部下の罪悪感

 新入社員や中途入社したての社員等、まだ仕事に慣れていない方は、業務の適正量が把握出来ていません。それにも関わらず、「時間内に仕事を終わらせられないのは、自分のスキルが低いせい」と捉えてしまい、自主的にサービス残業をしてしまう部下は少なくありません。

 本来であれば、業務量を調整するのは上司の仕事です。しかし部下は、自身の評価を気にするあまり、拒否することなく時間内に終わらない程の業務量を抱え込むという事態が発生してしまうのです。

サービス残業の事例

 では、企業はどのようにして労働者にサービス残業をさせているのでしょうか。具体的には以下の事例が考えられます。

事例➀定時にタイムカードを押させる

労働時間の証拠となるタイムカードを定時になったら押し、その後も仕事を続けるというのが、よくありがちなサービス残業のパターンです。
タイムカード上は定時で仕事を終了させていることになっているため、企業にとっては残業代を支払わなくて済む口実になります。

事例②定時後の「自己啓発時間」

 定時後に、スキルを磨くための「自己啓発時間」を設け、労働者にサービス残業をさせているケースもあります。表向きは労働者が自発的に行った時間のように見せて、その実態は通常の労働となんら変わりがないのです。
 類似したもので、「奉仕時間」や「ボランティアタイム」といった名目でサービス残業を強要している企業も珍しくありません。

事例③残業代は出ない契約になっている。

経営者が「残業代が出ないことは労働契約書に記載してある」「残業代が出ないことは入社時に伝えているはず」等と主張するケースです。労働基準法の範囲内で定めた労働契約であれば、効力を発揮させることが出来ます。しかし、労働基準法の範囲外で定めたものに関しては、無効になります。
そのため、たとえ「残業代は支給なし」という記載が労働契約書にあったとしても、会社が残業代の支払義務を免れることは出来ません。

事例④持ち帰り残業

仕事を自宅に持ち帰った場合はサービス残業に当たることがあります。たとえば、会社から指示があってうえで、仕事を持ち帰った場合です。一方、自分の判断に仕事を持ち帰った場合はサービス残業と見なされない可能性があります。但し、自己判断であっても「明らかに納期に間に合わない」「業務外の研修課題が終わらない」等で仕事を持ち帰らせざるを得ない状況であれば、サービス残業といえるでしょう。

事例⑤みなし残業

みなし残業とは、実際の残業時間に関わらず、あらかじめ給与の中に一定時間分の残業代が含まれていることを指します。時間に制限なく残業を強いられている場合はサービス残業の可能性が考えられます。

→「みなし残業」についてはこちらの記事で詳しく説明をしています。

事例⑥名ばかり管理職

名ばかり管輅職とは、一定の部門や部署を裁量する権限がないにも関わらず管理職として扱われていることを指します。小売店や飲食店店長やマネージャー等に、名ばかり管理職は多く見られます。

労働基準法では管理監督者には残業代を支払わなくてよいということになっていることから、会社で独自のルールを設け長時間の就労を強制させておきながら残業代を払わないという、サービス残業が発生しているのです。

→名ばかり管理職は、こちらで詳しく説明しています。

事例⑦半端な業務時間の切り捨てる

 15分や30分等の単数を切り捨てて、残業時間の賃金計算をすることもサービス残業に該当します。これについては、大きく影響するわけではないため放置されがちです。とはいえ労働時間は本来、1分単位で集計・計算をしなければなりません。

事例⑧朝残業

残業は一般的に就業時間以降の労働のことを指すことが多いです。しかし、始業時間前に働くことも残業の対象になります。たとえば、仕事が終わらないため朝早めに出勤しているにも関わらず残業代が支払われないようであれば、これはサービス残業に該当するかもしれません。

事例⑨着替えの時間・待機の時間

 休憩中に電話版をしている時間や、就業時間後の終礼の時間等も、残業代の支払対象である労働時間と評価される場合もあります。
 もし、このような場合に残業代を支払われていないようであれば、サービス残業の可能性は否定出来ません。

このように、様々なかたちで労働者はサービス残業をさせられています。では、これらのことが実際に労働者の身にふりかかった場合は、どのような対策をすればよいのでしょうか。次の項で、対策について触れていきましょう。

対策

 具体的には以下4つの対策が考えられます。

対策➀匿名で厚生労働省に情報提供

 厚生労働省はホームページで「労働基準関係情報メール窓口」というものを設けています。労働者はその窓口に、サービス残業を強要している企業を匿名で情報提供することが出来るのです。つまり、サービス残業の実体を匿名で通報することが可能なのです。
 厚生労働省は提供のあった情報を基に、管轄の労働基準監督署に報告します。そして、労働基準監督署は、その報告を参考に、サービス残業を強制している企業に是正勧告や指導等を行うことがあるのです。

対策②労働基準監督署へ相談

会社を管轄する労働基準監督署(労基署)の相談する方法もあります。労基署に相談し、労働基準法違反があるかもしれないという判断が下れば、労働基準監督署は会社を調査し、もし違反の事実が明確になれば会社に指導や是正勧告が出されます。
指導や是正が行われれば、会社が自主的な労働環境の改善をすることもありますし、未払い分の残業代が支給されるということもあります。

→「労働基準監督署」についてはこちらで詳しく説明をしています。

対策③労働基準監督署への告発

 労働基準監督署へは相談の他に告発するという手段もあります。例えば「労働基準法第〇〇条違反で会社を告発しに来たので手続をお願いします」といったように、事前に自分で調べてから労働基準監督署に行くことで告発することが可能です。告発するためには、パソコンのログを取得しておく等、会社からサービス残業をさせられていることが分かる証拠が必要になります。

→残業をしたことが分かる証拠についてはこちらについて詳しく説明しています。

対策④未払い賃金請求訴訟

会社に未払い分の残業代を請求するという方法もあります。とはいえ、多くの労働者は残業代の請求をして会社に居づらくなるという状態を避けたいのではないでしょうか。
そういった方々のためにこちらの記事「荒波を立てずに残業代を請求する方法」を用意しましたので、参考にしてみてください。

サービス残業が残業時間として認められた判例

 ここで、サービス残業に関連する判例を以下に触れさせていただきます。

裁判所は2008年、某飲食チェーン店の店長Tさんへ未払いの残業代の支払いを命じました。
 Tさんは人件費削減の中、長時間労働を強いられていました。残業は月に100時間を超え休日出勤も続く過酷な労働環境だったのです。それにも関わらず管理職であることを理由にTさんは残業代を支払われていませんでした。

 労働基準法41条では「監督若しくは管理の地位にあるもの(管理監督者)には、労働時間・休憩及び休日に関する規定は適用しない」といった内容があります。これを「管理職には残業代を支払う義務はない」と解釈し、多くの企業は残業代を支払わないのです。

 この某飲食チェーン店も、このように解釈し残業代の支払いから免れていたのです。
 この裁判の最大の争点は「店長が労働基準法上の管理監督者にあたるかどうか」という点でした。過去の判例においては以下の3点が管理監督者の要件とされています。

➀人事や経営についてある程度の決定権を持っていること
②労働時間や仕事について自由裁量があること
③賃金等について地位にふさわしい待遇を受けていること

 店長のTさんは、店舗内の人事や経営者に対しては一定の権限はあるものの、会社全体に対しての権限はなく、労働時間を左右する店舗の開店・閉店の時間を決める権限もありませんでした。

 裁判所は、店長のTさんを経営者と一体的な立場にある管理監督者とは認められないとして、500万円を超える残業代の支払いを命じたのです。

まとめ

サービス残業は立派な犯罪行為です。「会社のために」と思ってサービス残業をしている方もおられるかもしれません。しかし、働いた分はしっかり貰うというのが労働者の権利です。サービス残業が理由で退職してしまっては元も子もありません。労働者から行動を起こしサービス残業を防止することも必要なのかもしれません。
サービス残業を強いられているという方は、本記事を参考に行動してみてみましょう。

この記事の著者

編集部の画像

編集部

中立的な立場として専門家様と連携し、お困りの皆様へ役立つ安心で信頼出来る情報を発信して参ります。