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アパレル販売員の営業時間外労働はサービス残業の可能性アリのアイキャッチ

アパレル販売員の営業時間外労働はサービス残業の可能性アリ

アパレル販売員の営業時間外労働はサービス残業の可能性アリのアイキャッチ

 アパレル販売員をやっている方の中には、残業に関してこのような経験はありませんか?

「残業をしても残業代が全くつかない。」
「残業代が出なくても、セール期間中は終電まで残って作業が当たり前。」
「今日は仕事が終わりそうにないから早めに出勤…当然早く出た分の残業代は出ない。」

 以上のように、アパレル販売員にとってはサービス残業が恒常化していることがあります。そこで本記事では、アパレル販売員の残業についてご説明させていただきます。

営業時間外の業務

アパレル販売員のサービス残業は以前から解決すべき問題と目されています。ではなぜ、問題視されているのでしょうか。
 それは、営業時間外に業務を行わざるを得ないという状況が要因に挙げられます。

販売員は以下のように様々な業務をこなしています。

・接客
・売り場作り
・ストック整理
・接客用の店舗共有資料の作成
・入荷商品のサイズ感を知るための試着
・SNSやブログの更新

 これらの業務は、大型店舗であれば選任のスタッフが配置されていることが多く任された仕事の専念することが可能です。
しかし、中小規模の店舗では複数の業務を兼任していることが少なくありません。兼任しているスタッフは営業時間中、主に接客に時間を費やす傾向にあります。そのため、数ある業務の大部分を営業時間外に行うことを余儀なくされます。

 ではなぜ、営業時間外の業務がサービス残業の要因となるのでしょうか。それには、シフトの組み方に問題があると言えるでしょう。

シフトの組み方に問題アリ

アパレル販売員のシフトは、一般的には「営業時間+前後1時間程度」で組まれます。
例えば、営業時間を10:00~20:00とします。店舗によりますが、この場合は9:30~21:00の間でシフトを組まれるケースは少なくないでしょう。
営業時間中は接客がメインになるものの、通常であれば「営業時間+前後1時間程度」の範囲で組まれたシフトで業務を完了させることは可能です。

しかし、次の場合に関してはシフト内で業務を遂行することが難しくなります。

セール期間中

 アパレル業界では、多くの店舗が6~8月にサマーセール、12~2月にウインターセールといった大売出しを行います。これらの期間中は、売場の変更や品出し、入荷等の業務が普段より増えるため、シフト内で仕事をこなすことが困難になりがちです。
 さらに、ゴールデンウイーク等の連休や新春初売りセールの時期も業務量は増えます。

遅番

 大抵のショップは、早番・中番・遅番の3体制、もしくは早番・遅番の2体制のシフトを採り入れています。この中でも、遅番はシフト内で業務をこなすことが難しくなることがあるのです。
 遅番では、営業時間終了後にレジ締めや日報の作成、店内整理等、やらなければならないことが多いのです。そのため、「レジ内のお金が合わない」等といった問題が発生すると、仕事が長引き、組まれたシフト内で終わらすことが出来なくなってしまうことが往々にしてあります。

サービス残業が発生する理由

 シフト内で仕事を終わらすことが出来ず時間外労働をした場合は、残業をしたことを申請して、残業代を支給してもらうというのが一般的でしょう。ところが、アパレル販売員の場合は、残業の申請をせずにサービス残業をするということが当たり前になっているのです。これには、以下2つの理由が考えられます。

理由➀ギリギリに設定されている人件費の予算

 各ショップには人件費の予算設定がされています。その予算設定を行っているのは店舗を管轄している本社です。
 しかし、各店舗に割り振られた予算はギリギリに設定されているケースが多いため、人件費を切り詰めなければなりません。

 よって、以下のような悪循環が生まれサービス残業が発生するのです。

ギリギリの予算

業務が終わらない

タイムカードを切ったうえでシフト外の時間も働く

サービス残業

 また、人件費の削減の一環として、店舗で働くスタッフの多くが非正規雇用のアルバイトで成り立っているショップも珍しくありません。そのため、他のスタッフに仕事をふることが出来ない店長や役職に就いていない社員等の業務が集中した結果、よりサービス残業が増えてしまいます。

理由②営業時間外の業務の軽視

 アパレルショップは、スムーズに営業していくために前出している様々な業務を行わなければなりません。
 しかし、現場にいない本社の経営陣等は、売上に直結しない営業時間の仕事を軽視しがち です。そのため、「営業時間+前後1~2時間」で組まれたシフトを超えて勤務する時間に関してはより軽視し、労働時間と見なさないということが多々あるのです。

労働時間の基準とは

 では、シフト外で働いた時間は労働時間と見なさない、ということは許されるのでしょうか。
これについては労働時間の基準について知る必要があります。

 この基準については、労働基準法32条で「労働者が使用者(会社)の指揮命令下に置かれている時間」を労働時間と規定する、といった内容の記述がされています。

これをアパレル販売員に当てはめると、「➀会社が行うように」「②会社から命令された場合や会社でせざるを得ない場合」の2つの条件が揃った場合に、労働時間と見なす、ということを示しています。
ちなみに、➀については必ずしも職場である必要はなく、会社から場所の指定をされていれば条件を満たします。

→さらに労働時間の定義について知りたい方は、こちらで詳しく説明をしています。

アパレルと残業

前述の①②を基に、アパレルの場合はどういった時、残業に該当するのでしょうか。

残業をしないと終わらない程の業務量

 残業の命令はされていないものの、本社や上司から指示された業務量が残業をしないと終わらない場合等は、②の「残業せざるを得ない場合」に該当すると言えるでしょう。そのため、残業になる可能性が考えられます。

セール期間と遅番

 時間外労働をしなければ業務が終わらないセール期間の場合も、②の「残業せざるを得ない場合」に当たると言えるでしょう。また、遅番でレジ締め等の閉店業務をシフト内に完了出来ない場合も、②に該当する可能性は否定出来ません。

 但し、業務が終わらないから等の事情無しに残業しているようであれば、残業に該当しないかもしれません。

「名ばかり管理職」による店長のサービス残業

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画像:aparel2

 以上でご説明させていただいた内容に関し「私は店長で別途手当を貰っているからこの話は当てはまらないかも」と感じた方もいることでしょう。
 店長は、別のサービス残業が該当することが考えられます。それは「名ばかり管理職」というものです。

「名ばかり管理職」とは、管理職に就いているにも関わらず与えられた業務がそれに値しない労働者のことを指します。この「名ばかり管理職」の特徴として、少ない職務手当がついたうえで、それに見合わないほど多くの残業をさせられている という点です。要するに、残業代が職務手当に含まれている恰好なのです。

「名ばかり管理職」は、労働基準法41条で定められている「管理監督者については労働時間・休憩・休日の規定の適用が除外される」に基づいているものです。しかし、ここでポイントとなるのが、「アパレルショップの店長」=「労働基準法上の管理監督者」とは限らないということなのです。

労働基準法上の管理監督者とは

では、労働基準法上の管理監督者とはいったいどのような労働者が該当するのでしょうか。過去の判例のおいては、以下の4つの観点から「管理監督者」に該当するかどうかの判断をしています。


(1)一定部門等を統括する立場である
(2)会社経営に関与している
(3)労働時間や仕事を自身でコントロール出来る
(4)給与面で優遇されていること

→「管理監督者」については、こちらで詳しく説明をしています。

「名ばかり管理職」の店長の特徴

 以上を分かりやすくアパレルの店長に当てはめると、以下のような方は「名ばかり管理職」に当たる可能性があります。


・店舗で働くアルバイトの採用に権限がない
・店舗の経営方針に一切関与していない
・定時後の残業はタイムカードを打刻して行うようにと本社から指示され、労働時間の裁量がない

 このような店長は少なくないのではないでしょうか?

サービス残業代を請求する方法

 以上のことをお読みになったうえで、サービス残業をさせられている可能性がある方は未払い残業代の請求を考えた方がよいでしょう。
 未払いの残業代を請求するためには残業をした証拠が必要です。これは、立証責任(確実な証拠で証明する責任)が請求者にあるためです。

 タイムカードで勤務時間の管理をしっかりしているのであれば十分な証拠になります。しかし、サービス残業が行われている店舗では使用していないか、タイムカードを打刻してから時間外労働をしています。

 そのため、タイムカードに代わる以下の証拠が必要です。

・パソコンの日報送信時間
パソコンのログイン・ログオフ時間
・FAXの送信時間
・本社や業者とやり取りをしたメール・電話履歴
・手帳や日記に記したメモ
・セキュリティカードの記録
・シフト表

 まずは、以上の証拠になるものを入手したうえで、こちらの記事「会社と荒波を立てずに残業代を請求する方法」を読んでみてください。残業代請求に向けてするべきことが理解出来るでしょう。

まとめ

 アパレル販売員はサービス残業が常態化しています。その中でも営業時間外労働はその対象になりがちです。しかし、働いた分の賃金を支給してもらうことは労働者として当然の権利です。
 もしサービス残業が強いられているようであれば、残業代の請求も検討してみてください。残業代の請求をしたことをきっかけに、会社の労働環境が見直されるかもしれません。

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編集部 (弁護士)編集部

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