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不動産業界の「残業代なし」に隠れた違法の可能性

2018年06月25日 公開
不動産業界の「残業代なし」に隠れた違法の可能性のアイキャッチ

2017年12月、某大手不動産会社が社員600人に裁量労働制を不正に適用し、不当に残業をさせていることがニュースになりました。
 多くは表沙汰にはなっていませんが、不動産業界においてこのような違法残業のケースは、決して少なくありません。
 そこで、今回は不動産業界の残業についてお伝えします。

不動産業界は残業が多い

 2007年~2014年に行われたVORKERSの調査によると
不動産業界の残業時間は『70.8時間』です。(『https://fudosan-career.net/column/other/overtime』)
全業界の平均残業時間は『47時間』(『https://fudosan-career.net/column/other/overtime』)
のため、不動産業界の残業は非常に多いことがうかがい知れます。

残業が多い理由

 ではなぜ、不動産業界は残業が多いのでしょうか。主に以下の3つが理由に挙げられます。

【理由①】売上を上げるため

 不動産業界は給与に歩合制を採用していることが多いです。よって、労働者は給与が減少しないよう、売上を上がるために時間を問わず働かざるを得ません。
 そのため、残業が多くなる傾向にあるのです。

【理由②】強制残業

 売上が上げられない労働者に対しては、強制的に夜遅くまでチラシの作成・投函等の雑務をさせるケースが珍しくありません。
 また、企業によっては22時や23時に営業の電話をさせることもあります。

【理由③】残業が当たり前な風潮

 不動産業界では、残業が当たり前な風潮の会社が存在します。仕事に対して効率よりも体力勝負を求める会社、残業をよしとしている会社、定時で帰れる雰囲気ではない会社等、様々です。
 そのような会社では、残業が蔓延っているのです。

【理由④】時間を問わないクライアント対応

 不動産業界は、仕事の性質上、時間を問わずクライアントから電話が架かってくるケースが多いです。たとえ、それが労働時間外や休日だとしても対応する必要があります。
定時があるようでない不動産業界の性質は、残業の多さに繋がっているのです。

 【理由①】~【理由④】のような事情があるとはいえ、労働者には働いた分の賃金が支給される義務があります。
そのため、次項で説明する労働時間の基準内であれば、残業代が支払われなければなりません。

労働時間の基準とは

労働基準法32条では「労働者が使用者(会社)の指揮命令下に置かれている時間」を労働時間と定める、といった内容が記述されています。
つまり、「労働者が使用者(会社)の指揮命令下に置かれている」かどうかが労働時間の判断基準とされているのです。

 これを、不動産業界に当てはめると、「➀会社が行うように」「②会社から命令された場合や会社でせざるを得ない場合」の2つの条件が揃った場合に、労働時間と見なす、ということを示しています。
ちなみに、➀については必ずしも社内等である必要はなく、会社から場所の指定をされていれば条件を満たします。

労働時間の基準から見る不動産業界の残業

 前述の①②を基に、不動産業界の場合はどういった場合に残業に当たる可能性があるのかを見ていきましょう。

【残業①】売上を上げるため

 売上を上げるために残業をしなければならないというのは、②の「会社でせざるを得ない」に該当すると言えるでしょう。
 売上を上げるにつれて歩合給が増えるとしても、残業した分の賃金はしっかり支払われなければなりません。

【残業②】強制残業

 売上を上げられず、チラシの作成・投函等、強制の残業をさせられている場合は、①の「会社が行うように」に当たる可能性があります。
 また、定時を過ぎて営業の電話を指示された場合も該当すると言えるでしょう。

【残業③】残業が当たり前の風潮

 残業が当たり前の風潮があり、定時を過ぎて働く場合も残業に当たる可能性があります。その場合、会社から「残業するように」と指示されていないとしても②の「会社でえざるを得ない」に該当する可能性が考えられます。

対策方法

 前項の【残業①】~【残業③】に当てはまるにも関わらず、残業代が支払われない場合は以下の対策をするとよいでしょう。

【対策①】残業が少ない会社に転職する

 同じ不動産業界でも、会社によって残業時間に違いがあります。転職に役立つ情報を掲載している「キャリコネ」では、口コミを基に「残業時間ランキング」を掲載しています。不動産業界のランキングも載っています。コチラからご覧になれますので、このランキングを参考に残業が少ない会社に転職をするのも一案です。

【対策②】賃貸不動産の会社に転職する

 賃貸不動産の会社に転職するのも一手です。
 賃貸不動産の会社は、店舗のカウンターのみで営業が行われるため、クライアント獲得に向けて外回りをする必要がありません。そのため、不動産業界の中で賃貸不動産の会社は、残業が少ない傾向にあるのです。

【対策③】未払いの残業代を請求する

 転職する方法もありますが、働いた分の賃金を支給してもらうことは労働者にとって当然の義務であるため、やはり未払いの残業代は請求するべきでしょう。
未払い残業代を請求するためには残業をした証拠が必要です。これは、立証責任(確実な証拠で証明する責任)が請求者にあるためです。

不動産業界でしたら、以下のものが残業の証拠として挙げられます。

◇勤怠管理システム・タイムカード
◇パソコンのログ ※ログ取得方法はこちらの記事で見ることが出来ます。
◇日報・週報
◇手帳等の記録
◇メール・FAXの送信履歴

まずは、以上の証拠になるものを入手したうえで、こちらの記事を読んでみて下さい。残業代請求に向けてするべきことが理解出来るでしょう。

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