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営業マンの残業は失われている!?「事業場外みなし労働時間制」に潜む罠のアイキャッチ

営業マンの残業は失われている!?「事業場外みなし労働時間制」に潜む罠

営業マンの残業は失われている!?「事業場外みなし労働時間制」に潜む罠のアイキャッチ

営業マンの間でこのような話をよく聞きませんか?

「うちの会社は『みなし残業制度』だから、残業代が出ないんですよね。」

一般に「みなし残業」とは、給料の中に一定時間分の残業代を含んでいる給与体系をいいます。しかし、会社はこれをいいことに労働者を、違法に長時間労働をさせていることがあります。
そのため、みなし残業をしている人の中には、残業代が発生するにも関わらず、みなし残業だからと諦めて、もらえるはずの残業代をもらっていないという罠に引っ掛かっている可能性があります。

そこで今回は、営業マンがかかりやすい「事業場外みなし労働時間制」という罠について説明していきます。

みなし労働時間制について

まず「事業場外みなし労働時間制」を知る前に、「みなし労働時間制」について知る必要があります。

みなし労働時間制とは

「みなし労働時間制」とは、労働時間の算出を実際に働いた時間ではなく、あらかじめ定めておいた時間を労働したものとみなす制度です。この時間のことをみなし時間と言い、実際に働いた時間とは異なっていたとしても、みなし時間働いたものとして扱われます。

みなし労働時間制が適用される条件

このみなし労働時間制が適用される条件として、以下の2項目が両方必須となります。

  1. 労働者の労働時間の全部または一部を会社の外で仕事をしている場合
  2. 上司などから具体的な指示を受けず、自身の決定で仕事をしていて、かつ会社からの監視がないために労働時間の算出をすることが難しい場合

また、みなし労働時間制は業務の違いによって、次の3つに細分されます。

事業場外みなし労働時間制

事業場外みなし労働時間制は、直行直帰する営業職や、出張等の臨時の事業場外労働のように、社外勤務の労働者に適用されます。

社外で労働をしていて、会社が労働時間を把握出来ない場合に、原則として、労使協定(労働者と会社の間で交わした約束事を書面化したもの)で、あらかじめ定めておいた労働時間を働いたものとみなされます。

しかし、時間管理をする上司などが同行するケースや、携帯電話で随時指示を受けるケース、帰社したら報告する等、会社の監視の下で働いている場合は、この事業場外みなし労働時間制は適用されません。
営業マンの多くは、この適用されないケースに当てはまるのに関わらず、みなし労働をさせられているのが現状です。

専門業務型裁量労働制

専門業務型裁量労働制は、業務の性質上、手段や方法、時間の配分などの決定をほぼ労働者に任せる必要がある業務である、編集、研究、デザインなどの専門的な労働者に適用されます。
その際、労使協定であらかじめ定めた時間を労働したものとみなされます。

しかし、その業務に必要とされる時間を1日単位で決める必要があり、変形労働時間制(労働時間を1日単位ではなく、月単位や年単位で算出する制度)のように1ヶ月単位で決めることは出来ません。

また、この制度の場合、会社は労働者に対して業務上での手段や方法、時間の配分について具体的な指示を出すことは出来ません。

企画業務型裁量労働制

企画業務型裁量労働制は、事業方針等の重要な決定が行われるような会社の本社で、立案や企画、分析、調査を行う事務系の労働者に適用されます。

事業場外みなし労働時間制でも残業代は発生する

それではなぜ、事業場外みなし労働時間制では、営業マンがもらえるはずの残業代をもらえていないという罠にかかっているのでしょうか。
これは、以下のように労働時間をみなされてしまうことが原因となっています。

所定労働時間が8時間の場合、実際の労働時間が10時間であっても、所定労働時間の8時間を働いたとみなされます。逆に、4時間しか働いていなくても8時間働いたとみなされます。

だからといって、毎日15時間や20時間働いたとしても8時間とみなされるのかというと、それは違います。
1か月の総実働時間が1ヶ月分の所定労働時間を越えていたら残業代は発生します。

→残業代の計算方法についてはこちらで詳しく説明しています。

弁護士が残業代請求について相談に乗ってくれる

計算をしてみて残業代が発生するようでしたら、労働者は、未払いの残業代は請求することが出来ます。
そのためには、まずは弁護士に相談することが有効な手段です。弁護士なら残業代の計算から請求の手続きまで、その人にあった的確なアドバイスをしてくれます。そして、残業代を裁判で回収するケースになれば、弁護士は裁判の際も代理人として本人の代わりに活動してくれます。

また、未払い残業代の請求は請求した日から過去2年(24ヶ月)までしか遡れないという時効制度があります。そのため、退職まで待ったりすると時効で請求が出来ない可能性があるので早めに行動することをお勧めします。

→残業代請求の時効は2年しかない…そこで知っておいた方が良い2つのこと。

未払い残業代を回収できた営業マンのAさん

これは、会社員のAさんが労働審判手続き申し立て書に記した一文です。残業代未払いの件で、弁護士事務所へ相談にやってきたAさんに労働審判への申し立てを勧めたところ、Aさんはさっそく2年分の残業代を回収すべく手続を行いました。

労働審判とは
労働者と会社との間で起きた労働問題を労働審判官1名と労働審判員2名が審理(取り調べを行って、事実関係・法律関係を明らかにすること)し、迅速かつ適正な解決を図ることを目的とする裁判所の手続

「相手方」とはAさんが勤めていた会社のことで、「金712万3,987円」は本来支払うべきなのに支払われなかった残業代のことです。Aさんの職種は営業で、会社は労働時間の算定が困難だという理由で「みなし労働」の残業代を支払わなかったのです。

労働審判の結果は、以下のようになりました。

こちらは、裁判所書記官の名前で作成をされた「労働審判手続期日調書(調停成立)」の一文です。
労働審判官(地方裁判所裁判官)と労働審判員(民間人)がAさんと会社の間に立って話し合いが行われた結果、Aさんの仕事は「みなし労働」に該当しないことが認められ、Aさんは540万円の不払い賃金を手にすることができました。

労働審判を行わず、直接会社に請求しても「労働時間の算定が困難」という理由で一蹴され、1円も入らなかったと思います。
労働者の手続に要したAさんの費用は、19,000円でした。これは裁判所の手数料として支払うもので、請求内容によって異なります。

Aさんは、自分で申立書を作成したり、証拠書類を揃えたりする手間がかかりましたが、黙っていれば支払われない多額の不払い賃金を手に出来たのです。
とはいえ、Aさんのように自分で全て準備をすることは大変ですので、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

まとめ

事業場外みなし残業について理解が深まったでしょうか。
仕事量が多く長時間の労働になりがちな人は、不当に残業代が支払われていない可能性が高いです。
その場合は残業代の請求を考えた方がよいです。そのためにはまず、残業代の請求が出来るよう、こちらを見て準備をしてみましょう。

→残業代請求のために在籍中に出来る3つの準備

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編集部

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