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労働基準監督署に通報したらその後どうなる?通報の仕方も解説

2018年11月20日 公開
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 労働基準法に基づいて管轄する地域に所在する会社を監督する労働基準監督署。労働問題についての通報をすれば、解決に向けて動く機関です。
 にも関わらず、多くの労働者は残業代未払い等の労働問題に直面した際、労働基準監督署に通報出来ずにいます。

「通報したことが会社にバレて居づらくなりそう」
「通報後、何をどこまでしれくれるか分からない」
「通報しても何もしてくれなそう」

このように、通報するとどうなるかが分からないため、心配して行動に移せない方が少なくありません。
そこで今回は、労働基準監督署への「通報の仕方」や「通報した後どうなるのか」についてお伝えします。

労働基準監督署に通報出来る内容

 労働基準監督署では、次のような労働問題に対応をしています。

■給与や残業代、休日・深夜手当の未払い
■サービス残業
■退職金の未払い
■1ヶ月の残業が100時間を超える等の長時間労働
■高所等の身の危険がある現場で、安全への配慮が不十分な状態で勤務している
■実際の労働環境が雇用契約書に記載されている内容と異なる
■会社の倒産による給与の不払い
■休日出勤の強制
■有給休暇の取得拒否
■不当な解雇・懲戒処分

 上記に挙げた労働問題は、労働基準法違反になる可能性があるため通報をすれば対応をしてくれることがあります。
 ただ、上記は一例に過ぎず、その他の内容についても通報出来る可能性があります。詳しくは以下の記事をご覧ください。

通報の仕方

 通報の仕方には、「電話」「メール」「窓口」の3つの方法があります。

【通報①】電話

 電話で通報をする場合の連絡先は労働条件相談ほっとライン(TEL:0120-811-610)になります。専門知識を持った相談員が対応をしており、全国どこからでも無料で利用出来ます。
受付時間は月・火・木・金曜日の17~22時、土・日曜日の10~17時です。平日の日中が仕事の方にも対応出来るような時間帯を受付時間にしています。

【通報②】メール

 メールの場合は、厚生労働省が設けている労働基準関連情報メール窓口の送信フォームから通報が可能です。メールですので時間を問わず通報が出来ます。

【通報③】窓口

 労働基準監督署の窓口で通報をする場合、基本的には会社の所在地を管轄している監督署に行きましょう。

ただ、労働基準監督署の窓口の受付時間は平日の8:30~17:15です。平日の日中働いていてビジネスマンは、会社を休む等の都合をつけて、窓口へ向かう必要があります。

通報後の3つのアクション

 労働基準監督署に通報すると、労働基準監督署は次の3つのアクションを起こします。

【アクション①】違反しているかどうかや対処方法を説明される

 目の当たりにしている労働問題が労働基準法に違反しているかどうか等についての説明をしてくれます。また、その問題に対し具体的な対処方法を助言される場合もあります。

【アクション②】代表者を呼び出す

 労働基準監督者が会社の代表者を呼び出すケースがあります。その場合、代表者は指定された書類を持参して労働基準監督署に出向きます。労働基準監督は書類を確認し、労働基準法に違反しているかどうかの事実を判断します。

【アクション③】立ち入り調査(臨検)

 通報した内容が悪質な場合、労働基準監督署は解決のために会社に立ち入り調査(臨検)を行う傾向にあります。
 労働基準監督署には、司法警察官(犯罪の捜査を担当する警察官)と同等の権限を持っている労働基準監督官が在籍しています。そのため、労働基準監督署は会社を臨検出来るのです。

臨検とその後の流れ

 労働基準監督署に通報しようかどうか迷っている方の多くは、この臨検した後どうなるかが気がかりなのではないでしょうか。把握をしたいのではないでしょうか。
 ここからは臨検とその後の流れについてお伝えいたします。

【流れ①】臨検

 まず臨検ではどのようなことが行われるのかを深掘りしていきましょう。

手順 内容
①会社に入る際 臨検に入る際は、「〇〇さんから依頼があって調査にきました」と最初に伝えるケースがあります。また、通報者を保護するため、管轄する地域に所在する会社にランダムに行う定期監督という体で臨検する場合もあります。

そこで臨検を拒否すると、労働基準法第120条により30万円以下の罰金が科されます。基本的に会社は臨検を拒否しないでしょう。

 

②法律違反の事実の書類で確認 その後、労働基準監督官は労働の実態を把握するために賃金台帳と労働者名簿、出勤簿帳簿のチェックに取り掛かります。場合により、雇用契約書や就業規則、会社組織図、健康診断個人票有給休暇の取得状況の管理簿、時間外労働や休日労働に関する協定届のチェックも行います。
③法律違反の事実のヒヤリングで確認 書類のチェックが終わったら、続いて経営者や責任者へのヒヤリングを始めます。また、従業員に対しても勤務実態や給料の支払い等についてのヒヤリングが行われる場合もあります。

 上記のような手順で臨検が行われます。
 なお、嘘の陳述や虚偽の帳簿書類の提出も罰則の規定に入るため、会社は臨検から逃れることは出来ないと言っていいでしょう。
経営者や責任者がいない場合は、日程を変更して再度臨検を遂行します。

【流れ②】是正勧告書の交付

臨検の結果、違法の事実を確認した場合は会社に改善をするよう、「違反している項目」と「是正期日」が明記された是正勧告書が交付されます。会社はこの勧告書に従い改善を行わなければなりません。そして、是正期日までに是正報告書を労働基準監督署に提出する必要があります。

【流れ③】罰則・逮捕

 会社が期日までに是正報告書の提出をしないと、悪質であるという判断が下ります。すると、罰則が与えられたり逮捕されたりする場合があります。
 また、是正報告書を期日内に提出しても再臨検が遂行されるケースもあります。そこで、改善が見られない場合も罰則や逮捕等が実行される可能性があります。

通報をしても臨検を実行するとは限らない

 全ての通報に対して改善に向けて行動してくれるが理想的ですが、労働基準監督署は通報の時点でその問題に違法の疑いがないと臨検を行わない傾向にあります。これは、「臨検をしたけど違反の事実を確認出来なかった」という無駄足は踏みたくないと考えているようです。
ですので、労働基準監督署は違法の可能性が高い案件から臨検を行う傾向にあります。

臨検をしてもらうための通報方法

 では、どのように通報をしたら臨検をしてもらえるのでしょうか。
 最も臨検されやすい通報の仕方は「証拠を持って窓口に相談」です。この方法により、労働基準監督署が臨検を実行するかどうかを判断する「違法の疑いがある」ことをアピール出来ます。
「証拠を持って窓口に相談」をする方法については下記の記事で詳しく説明をしていますので、ぜひ併せてみてください。

会社に通報したのはバレない

 臨検に入ると、多くの方が気になるのは「申告者が誰なのかが会社にバレるのではないか」という心配ではないでしょうか。
 基本的にバレることはありません、それは、労働基準監督署に守秘義務があるためです。ただ、小さな会社の場合では特定される場合があるため注意が必要でしょう。
 また、「〇〇さんから依頼があって調査にきました」と言って臨検するケースがあるとばれてしまいます。ですので、万が一に備えて「誰が通報したか会社には公表しないようにしてください」と伝えておくと安心でしょう。

代理人が通報でも可能

 電話や窓口で申告をする場合、受付時間が限られているため家族等の第三者に代理で通報してもらおうと考える方も少なくないでしょう。代理人でも通報することは可能です。ただ、労働問題の被害を受けている張本人ではないため、事実と食い違った通報をする可能性があります。代理人に通報してもらうのであれば、事実とズレのないように情報の共有をしっかりしておきましょう。

まとめ

 労働基準監督署に通報した後、どのような流れで臨検等が行われるかを理解していただけたえしょうか。通報したからといって、必ずしも労働基準監督署が動いてくれるとは限りません。通報した内容に違反の疑いがあるかどうかによって、労働基準監督署のアクションが決定します。
 労働基準監督署に行動を起こしてもらうためにも、本記事で触れた「証拠を持って窓口で相談」を実践することが肝になるのです。

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