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某広告代理店女性社員の過労自殺により社会的な問題になった「過労死ライン」とはのアイキャッチ

某広告代理店女性社員の過労自殺により社会的な問題になった「過労死ライン」とは

某広告代理店女性社員の過労自殺により社会的な問題になった「過労死ライン」とはのアイキャッチ

 みなさんは2015年12月に某広告代理店の女性社員が過労自殺した事件を覚えていますでしょうか?この女性社員は月に105時間もの残業をさせられていました。
これは、厚生労働省が定める過労死ラインを超えていることになり、当時のSNSでは、同じような労働環境下で働いている人からの投稿が相次ぎました。

 そのことによって、過労死ラインを超えて働くことは決して珍しくないことが世間に知れ渡りました。
そこで、今回は過労死ラインについて説明していきます。

過労死ラインって?

過労死ラインとは、長時間の残業によって健康障害が起こりやすくなる残業時間数のことをいいます。

 健康障害は、主に脳と心臓に症状が出てきます。また、仕事へのプレッシャーやパワハラ等も重なり精神疾患から自殺をしてしまう人もいます。睡眠不足、過労により居眠り運転・風呂場での事故死等も過労死ラインを超えた残業による健康障害として認定された例があります。

また、この過労死ラインは労災(労働災害)認定が下りるかどうかが、ひとつの判断基準となっています。

労災認定とは

 仕事中に病気や怪我をした時、本人や遺族の請求に基づいて、仕事が原因でそうなったものかどうかを労働基準監督署が客観的に判断します。
判断が認められると療養補償(会社から必要な療養費用として受ける補償)などが給付されます。過労の場合は、労働時間やストレスの度合いなどで総合的に評価されます。

過労死ラインを超えると労災認定されやすい

過労死ラインは厚生労働省が定めたものであり、月の残業時間が最大で80時間とされています。

 健康障害が起きた時点から2~6ヶ月遡った時に、残業時間の平均が過労死ラインの80時間を超えていれば、健康障害と残業による長時間労働が関係するとして労災認定されやすくなっています。また、健康障害が起きた時点から1ヶ月遡った時に、残業時間が100時間を超えていた場合も労災認定されやすい目安となっています。

過労死ラインを超えた某広告代理店女性社員の場合

 それでは、過労自殺した某広告代理店の女性社員の場合はどうだったのでしょうか。
 彼女の場合は、休日出勤をしているうえ、1日の労働時間が12~13時間にまで及んでいました。さらに、亡くなる1ヶ月前にいたっては朝の4~5時台に帰宅する生活を送り、1日20時間も会社にいたそうです。

その結果、冒頭でも述べましたが105時間もの残業をしていたため、このケースは労災認定されました。

過労自殺は日本特有の悪習

この事件で明らかになったように、過労自殺は多発しています。2009年の過労自殺の件数をデータにしたものが以下です。

若年層に多発する過労自殺
若年層に多発する過労自殺(2009年労災申請件数)

20~49歳を中心に過労自殺が多発しています。

 一方、海外でも残業はありますが、比較すると日本は過労死が多い国です。それを象徴するかのように、過労死は英語で「karoshi」といいます。これは働き過ぎて死ぬということが日本特有の悪習であることを表しているといえるでしょう。

過労死ラインを超えて働かせることは違法である

 現在、過労自殺した電通女性社員のような過労死ラインを超えて残業をする労働者は多いです。しかし、そんな残業に対して何も規定がないのかというと、そうではありません。労働基準法で、残業についての規定が設けられており、これに違反した場合、会社は罰せられる可能性があります。

それでは、具体的にどのような規定が設けられているのか、ここからはその点ついて説明していきます。

残業をさせるためにはサブロク協定を結ぶ必要がある

 まず、労働者を残業させるためには「サブロク協定」というものを結ぶ必要があります。これは、労働基準法36条の「会社が労働者を残業させる場合は、労働組合等と協定を結ばなくてはならない」という内容の協定です。

 通常、労働者は会社とサブロク協定を結んでいます。この協定では、時間外労働の上限時間が設けられており、原則は1ヶ月45時間までとなっています。会社が労働者に、この45時間を超えて時間外労働をさせた場合、それはサブロク協定の違反行為に当たる可能性があります。よって、過労死ラインの80時間も違法行為に当たる可能性があるということになります。

 また、悪質と判断された場合は「6ヶ月以下の懲役刑または30万円以下の罰金刑」が会社に科せられます。

規定の残業代を支払う必要がある

 また、規定の残業代を支払っていない場合も違法になることがあります。時間外労働をさせた場合、会社は通常の賃金から25%割増した賃金を支払う必要があります。
さらに、平成22年の改定によって時間外労働が月60時間を超えると、一部中小企業を除いて50%の割増賃金を会社側が支払う必要があります。

1時間あたりの賃金が1,000円とした場合、以下のようになります。

法定労働時間(定時)・・・1,000円
時間外労働(~60時間)・・・1,250円
時間外労働(60時間~)・・・1,500円

このように、会社は労働者を残業させればさせるほど、残業代が高くなり、負担も大きくなります。

→残業代についてはこちらで詳しく説明しています。

そこで、会社が考えることは残業時間を減らすか、残業代を支払わないかに分かれてきます。問題なのは後者です。これを常習的に行う会社があるため、長時間の労働者が増え過労自殺してしまう人がいるのです。

残業代は支払ってもらう権利がある

しかし、残業代というものは本来、支払われるべきものであり、支払われていなければ請求する権利が発生します。まして、過労死ラインを超えるような労働を強いられている場合には、命を削って働いているようなものですから、当然それに対する正当な対価を請求すべきだと言えます。

会社に対して未払いの残業代を請求したいと考えている方は、まずは弁護士に相談をすることを勧めます。弁護士なら残業代の計算から請求の手続まで、その人にあった的確なアドバイスをしてくれます。

労働基準監督署に指導してもらえる

また、長時間の残業を強いられていて労働環境に悩んでいるという方には労働基準監督署(労基署)に相談することも勧めます。
労基署に相談し、労働基準法違反があるかもしれないという判断が下れば、会社は調査され、もし違反の事実が明らかになれば指導が出されます。指導が行われれば、会社が自主的な労働環境の改善をすることもあります。

まとめ
過労死ラインは、働くうえで健康障害を発症した際の基準となる時間です。しかし、あくまでも大切なことは、長時間労働をせずにワークライフバランスを心かけることです。
本記事を読んで参考にしていただけたら幸いです。

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