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知らないと痛い目に?カラクリだらけの「36(サブロク)協定」のアイキャッチ

知らないと痛い目に?カラクリだらけの「36(サブロク)協定」

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みなさんは「36(サブロク)協定」をご存知でしょうか?
2012年に、某居酒屋チェーン店の女性社員が長時間労働を理由に過労死と認定された事件があります。この事件で問題になったのが、36協定の不正な手続でした。不正手続をしていたため、そのチェーン店側は思いのままに労働者を長時間労働させることが可能でした。

このことについて、専門家は「適正な手続きがされていないと、過労死を助長しかねない。」と警鐘を鳴らしています。このような36協定の不正な手続は近年、問題となっています。
悪いのはもちろん会社側ですが、労働者側に36協定についての知識があれば、このような問題を未然に防げるかもしれません。

そこで、今回は36協定について説明していきます。

36協定とは

36協定とは、労働基準法第36条で定められた「労働者に法定労働時間を超えて働かせる場合、あらかじめ労働組合または、労働者の代表と協定を結ばなくてはならない」という協定です。
労働基準法第36条に規定されていることから「36協定」と呼ばれています。

法定労働時間と残業

残業が全くない会社は、そう多くはないでしょう。しかし、労働基準法には、法定労働時間というものが定められています。
法定労働時間とは、1日8時間、1週40時間までしか労働させてはいけないという決まりのことです。そのため、法定労働時間を超えて働かせることは労働基準法違反に当たることがあります。

法定労働時間を超えても違法にならない協定

法定労働時間を超えて、いわゆる残業をしても、違法にならない方法があります。それが36協定です。36協定を結んで労働基準監督署に届出をすると、本来は違法である法定労働時間を超えた残業が認められるようになります。

36協定で決められている内容

しかし、36協定は結べば長時間残業が認められるのかというと、そういうわけでありません。なぜならそれを許してしまうと無制限の残業が認可されてしまうからです。

そのような事態を避けるため、労働基準法では「残業の限度時間」も定められています。

36協定の限度時間

残業の限度時間は期間ごとで以下のように決められています。

期間 残業の限度時間
1週間 15時間
2週間 27時間
4週間 43時間
1ヶ月 45時間
2ヶ月 81時間
3ヶ月 120時間
1年間 360時間

1年単位の変形労働時間制の場合の限度時間

変形労働時間制を取り入れている1年単位の労働時間の場合、限度時間が少し変わります。

期間 残業の限度時間
1週間 14時間
2週間 25時間
4週間 40時間
1ヶ月 42時間
2ヶ月 75時間
3ヶ月 110時間
1年間 320時間

変形労働時間制とは

法定労働時間では、1日8時間、1週間で40時間と労働基準法で定められていますが、業務によっては繁忙期・閑散期があります。このような場合、一律にどの週も40時間と限定するのは非合理的です。
そこで、もっと労働時間に柔軟性を持たせたようとして出来たのが「変形時間労働制」です。これは、繁忙期・閑散期を通じた期間を均一して法定労働時間を考えます。

その他の限度時間

残業の限度時間は会社に限ったことではなく、自宅で育児や介護をする人に対しても特別条項があります。この条項は残業時間の限度が1ヶ月24時間、年150時間までとされています。

特別条項付き36協定とは

他にも特別条項はあります。月に45時間以上の残業をしている会社が取り入れていることがある「特別条項付き36協定」というものです。

特別条項付き36協定は、36協定で決めた時間外勤務の限度時間を超過することが、本来は労働基準法違反なのですが、「特別な事情」で限度時間を超えそうな時は、「臨時的なもの」に限って再度協定を結んで労働基準法監督署に届け出れば、限度時間を超える残業が出来るというものです。

もう少し掘り下げて、特別条項付き36協定が認められる条件を説明していきます。

特別条項付き36協定が認められる条件

特別条項付き36協定が認められるものとして以下のものがあります。

⑴ 「臨時的なもの」であることが条件で、一時的または突発的に時間外労働を行わせる必要のあるもの
⑵ 特別条項付き協定の回数は、1年のうち半分を超えないことが条件

「臨時的なもの」として認められるもの
① 予算、決算業務
② ボーナス商戦に伴う業務の繁忙
③ 納期のひっ迫
④ 大規模なクレームへの対応
⑤ 機械のトラブルへの対応

特別条項付き36協定が認められないケース

この協定は「特別な事情」について出来る限り詳しい協定を定めて労働基準監督署に届け出なければいけません。具体的な理由を挙げずに、「業務の都合上必要な時」「業務上やむを得えない時」といった抽象的な理由では、毎日のような長時間労働を招くおそれがあると見なされて認められません。

36協定を結ぶのは「労働者の過半数を代表する者」

36協定は締結する労働者側にも条件があります。それは労使協定を結ぶにあたっての条件である「労働者の過半数を代表する者」です。
これはどのような労働者を指すかというと、以下のような人たちです。

① 監督または管理職ではない人
② 投票、挙手などで選出された人
③ 経営陣によって選出されていない人

冒頭の女性社員が過労死した某居酒屋チェーン店に関しては、店長がアルバイトの中から代表を指名し、協定書に署名させていました。
これは、①~③のどれにも該当しないため、不正な手続とされています。

36協定を守らない会社のやり口

現在、某チェーン店のように36協定の規定を守らない会社は多く存在します。中でも、残業の限度時間を守れていない会社が多く、口コミ情報サイト「VORKERS」のレポートでは、月の平均残業時間が47時間というデータも出ているほどです。

特別条項付き36協定を除いては、限度時間を超えて働かせてしまうと、労働基準法違反に当たる可能性があります。それが悪質な場合は書類送検されることもあります。そのため、会社は限度時間を表面上は超えていないかのように対策をしたり、もしくは特別条項付き36協定を結ぶために様々な手段をとろうとします。

限度時間を超えないための、あらゆる悪質な手段をとる会社

具体的に、悪質な会社がどのような手段をするのかというと、主に以下の3つがあります。

①特別条項付き36協定を不正に結ぶ

特別条項付き36協定を結べば、労働時間を延ばすことが出来ます。協定は会社と労働者代表の同意で結ばなければいけないのですが、会社の経営陣が労働者の代表として結んだり、最悪の場合は、協定書をねつ造したりと明らかな不正手続をします。

②サービス残業をさせる

36協定の残業限度時間があることから、会社は労働者に、定められた時間を超えて残業させているのにも関わらず、それを伏せているケースがあります。
それが、いわゆるサービス残業です。

→サービス残業についてはこちらで詳しく説明しています。

③別の労働形態を結ぶ

他にも特殊な労働形態を取り入れ、残業を誤魔化すような会社があります。例えば一部のフレックスタイム制等はそれに当たります。

→フレックスタイム制についてはこちらで詳しく説明しています。

まとめ

本来、労働者の労働時間の長さは36協定で守られています。しかし、悪質な会社は、以上のように労働時間を誤魔化したり、残業代を支払わなかったり、様々なカラクリを使います。

もしも、あなたが、毎月45時間を超えるような長時間労働をしていたり、労働時間と残業代が明らかに釣り合っていなかったりするようであれば、会社が何かしらの手段をとっている可能性が考えられます。

その場合は、労働問題を得意とする弁護士に相談しましょう。弁護士でしたら、相談に乗ってくれたうえで、あらゆるケースの中から、相談者にあった的確なアドバイスをしてくれます。

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