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みなし残業の上限は月45時間を「超えてよい?」「超えてはダメ?」のアイキャッチ

みなし残業の上限は月45時間を「超えてよい?」「超えてはダメ?」

みなし残業の上限は月45時間を「超えてよい?」「超えてはダメ?」のアイキャッチ

 みなし残業の上限についてインターネットで調べると、「月45時間以内なら問題ない」や「月45時間超えても大丈夫」等、様々な情報が散見されます。
 では、なぜそのように相反する意見が飛び交っているのでしょうか。

 今回はその疑問を解決するために、みなし残業の上限について深掘りしていきます。

みなし残業とは

 みなし残業とは、給与にあらかじめ決めた時間分の残業代を含む労働契約のことを指します。みなし残業を導入するにあたっては、就業規則や雇用契約書等の書面で労働者に周知する必要があります。

 その際、「月給28万(40時間分の固定残業代7万円を含む)」または「基本給22万円 みなし残業代(40時間分)7万円」等といったように、みなし残業時間とみなし残業代の金額が明記されていなければなりません。

みなし残業時間は36協定の規定以内に抑える

 みなし残業時間を設定する際は、36協定の規定内に抑えなければなりません。

 36協定では、以下のように残業時間の上限が定められています。

期間 一般労働者の残業時間の上限 対象期間が1年単位の変形労働時間制の残業時間の上限
1週間 15時間 14時間
2週間 27時間 25時間
4週間 43時間 40時間
1ヶ月 45時間 42時間
2ヶ月 81時間 75時間
3ヶ月 120時間 110時間
1年 360時間 320時間

原則、会社は上記の上限を超えた残業を労働者にさせることは出来ません。ですが、一定の条件を満たすことでその上限を超えた労働をさせることが可能になります。

 そう、それが「特別条項付き36協定」です。この特別協定こそが、月45時間の残業を”超えてはならない”、”超えてよい”の相反する意見が散見される基なのです。

上限なしの特別条項付き36協定とは

特別条項付き36協定とは、36協定の残業上限時間を超えた労働を年6回(半年)まで認める制度です。

 但し、特別条項付き36協定を導入するためには、以下の条件が求められます。

臨時的に残業をさせる必要があるもの
②対象期間が半年を超えない

”臨時的”なものとして認められるもの

①予算・決算業務

②ボーナス商戦に伴う業務の繁忙

③納期のひっ迫

④大規模なクレームに対する対応

⑤機会トラブルの対応

しかし、年6回(半年)まで上限なく無制限に残業をさせることが出来るため、長時間労働の温床になっていることは否定出来ません。

特別条項付き36協定を結んでも上限ありになる

 残業時間の上限が事実上、青天井だった特別条項付き36協定ですが、2018年3月厚生労働省が発表した「時間外労働の限度に関する基準」により、上限時間が設けられる恰好となりました。

【時間外労働の限度に関する基準】

・1ヶ月の残業時間…100時間以内

・月45時間以上の残業がある月…年間で6ヶ月以内

・1ヶ月の平均残業時間…80時間以内

・年間を通じての残業時間…720時間以内

これにより、特別条項付き36協定を労使間(労働者と会社の間)で結んだとしても、上限なく残業をさせることが不可能になりました。

上限にまつわるみなし残業の違法なケース

 これまで説明してきてお分かりの通り、みなし残業の上限についてはやや煩雑になっています。
 ですので、上限にまつわる次のような違法ケースがあるのです。

①月45時間以上のみなし残業時間を設定されている

 前述の通り、特別条項付き36協定では月45時間を超える残業は年6回(半年)までとされています。にも関わらず、月45時間を超えるみなし残業が設定され、現に6ヶ月を超える45時間以上の残業をさせられている場合は違法の可能性が考えられます。

②年俸制のみなし残業

 年俸制のみなし残業でも違法のケースがあります。
 例えば給与の条件が「年俸500万円(月50時間分の残業代10万円を含む)」だとします。この場合、毎月36協定で定められている残業時間を超えています。さらに、特別条項36協定を結んだとしても、その協定の「年6回(半年)まで」の規定をオーバーしているため、違法の可能性が考えられます。

 ①②の他にも下記の記事で、みなし残業についての違法パターンを紹介しています。みなし残業の計算方法についても説明がされているので併せてお読みください。

まとめ

 みなし残業の上限が45時間なのかどうかの疑問が解消されるご説明は出来たでしょうか。
 一般的には、働いた分に対して支払うのが労働賃金です。しかし、あらかじめ決めた分を支払う”みなし残業”という制度自体が変則であるため、導入すれば長時間労働等の問題が起きて、政府が新たな制約を設ける。このような流れがみなし残業時間の上限時間を煩雑させているのかもしれません。

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編集部 (弁護士)編集部

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