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管理職でも深夜手当は出る:手当の計算方法も解説

2018年07月25日 公開
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 労働時間の裁量が委ねられていることから、時間外手当の支給が除外される管理職。ともなると、一見全ての手当が除外されると見られがちですが、決してそうではありません。
 本記事では、管理職に深夜手当が支払われるのかどうかにスポットを当てていきます。

深夜労働の定義

 まず、はじめに深夜労働の定義についてお伝えいたします。深夜労働は、労働基準法37条で以下のように定められています。

使用者が、午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認めた場合においては、その定める地域又は期間においては午後11時から午前6時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

22~5時の時間帯に働いた場合が深夜労働に該当し、それに対しては25%の割増をした深夜手当が発生する、ということが明記されています。

管理職と深夜手当

 では、この深夜手当は管理職には支給されるのでしょうか。
 そもそも時間外手当の支給が除外されるのは、管理職が労働基準法上の管理監督者に該当することに起因しています。したがって、管理職に深夜手当が出るかどうかは、「管理監督者」を紐解いていくことで明らかになります。

管理監督者の定義

 管理監督者の定義については、労働基準法41条で以下のように定められています。

(労働時間等に関する規定の適用除外)
第41条 この章、第6章及び第6章の2で定める①労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号に該当する労働者については適用しない。
(1)別表第1第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者
(2)事業の種類に関わらず②監督若しくは管理の地位のある者又は機密の事務を取り扱う者
(3)監督又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

 この規定を要約すると次のようになります。

◇「②監督もしくは管理の地位にある者」=「管理監督者」
◇「管理官監督者」=「①労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用しない」

 では、「①労働時間、休憩及び休日に関する規定」とはどのようなことを指すのでしょうか。それは、労働基準法32、34、35、37条で以下のように定められています。

■労働時間…1日8時間、1週40時間を超えて労働させてはならない(32条)
■休憩…1日6時間を超える場合、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければならない(34条)
■休日…毎週少なくとも1日の休日(法定休日)を与えなければならない(35条)
■割増賃金…32条の法定労働時間を超え、または35条の法定休日に労働させた場合は、所定の割増賃金を支払わなければならない

 管理監督者には上記で定めている「労働時間や休憩、休日に関する規定」が適用除外になります。
 つまり、管理職は残業や休日出勤をしたとしても時間外手当が支給されないということになるのです。

管理職には深夜手当が支給される

 ここまでお読みになった方はお気づきかもしれませんが、管理監督者の定義において深夜手当に触れている項目がありません。
 つまるところ、管理職には深夜手当が支給される義務があるのです。

深夜手当が支給されない違法ケース

 しかし、以下のような誤解した解釈等によって、違法に深夜手当が支給されないケースは少なくありません。

【違法①】管理職は全ての手当がつかない

 管理職には時間外手当がつかないことから、深夜手当も支給しなくてもよいと誤解している会社があります。その場合は違法の可能性が管変えられます。

【違法②】管理監督者に該当しない管理職

 中には、管理監督者に該当しないにも関わらず管理職として勤務され、前項のように深夜手当が支払われないケースも珍しくありません。
 過去の判例によると、「監督もしくは管理の地位にある者」と定められている管理監督者とは、以下4つの観点を押さえている労働者を指すとしています。

(1)一定部門を統括する立場である
(2)会社経営に関与している
(3)労働時間や仕事を自身でコントロール出来る
(4)給与面で優遇されていること

 もし、(1)~(4)の条件をいずれか一つでも満たしていない場合は、管理監督者に該当しない管理職の可能性があります。そのような管理職は通常「名ばかり管理職」と呼ばれています。
「名ばかり管理職」の場合、役職等に就いていない労働者と同じ待遇になるため、深夜手当だけでなく時間外手当等も支払われなければなりません。

【違法③】就業規則に深夜手当を支払わない旨の記載

 管理職には残業代を支払わなくてよいことから、就業規則等に「管理職には深夜手当は支給しない」といった内容が記載されているケースがあります。しかし、その内容自体が労働基準法に反しています。そのため、記載がされていたとしても深夜手当の支給はしなくてはなりません。

【違法④】みなし深夜手当の詳細がない

 事前に定められた額が給与に含まれる、みなし深夜手当の場合も注意しなければなりません。例えば、雇用契約書等に「深夜手当1万円分を含む」といったように、何時間分の深夜手当が含まれているかが明記されていないケースがあります。その場合は、違法に深夜手当が支払われていない可能性があります。

深夜手当の計算方法

 では、ここからは管理職の深夜手当の計算方法についてお伝えします。
管理職の深夜手当は特殊であるため、まずは役職等に就いていない労働者の深夜手当の計算方法から見ていきましょう。

通常の深夜手当の計算方法

 既出の通り、深夜手当に関しては通常の賃金に25%割増した額を支払う必要があります。基本の計算方法は以下です。

深夜手当=1時間あたりの賃金×1.25

 なお、労働条件等によって割増率が異なります。様々の割増率を以下にまとめました。

労働時間 割増率
5:00~22:00 22:00~5:00
所定労働時間(会社が定めた労働時間:1日8時間のケースが多い) 割増なし 25%
時間外労働(法定労働時間を超えた労働) 1ヶ月60時間未満 25% 50%
1ヶ月60時間以上 50% 75%
法定外休日出勤(会社が定めた休日に出勤をすること) 25% 50%
法定休日出勤(法定休日に出勤をすること) 35% 60%

管理職の深夜手当

 次いで管理職の深夜手当の計算方法に触れていきます。
 役職等に就いていない労働者に対しては割増賃金が支給されますが、管理職には割増分のみが支払われるのです。

 要するに、管理職の深夜手当は以下のように算出されます。

管理職の深夜手当=1時間あたりの賃金×0.25

 それでは、1時間あたりの賃金が1200円の場合を例に、様々なケースの計算方法を見ていきましょう。

夜勤の場合

 時間を問わず勤務する管理職は、夜勤で22~5時に働くケースがあるのでしょう。そのような場合は、以下のように深夜手当を計算します。

1,200円×0.25×7時間=2,100円

日勤で24時まで残業をした場合

 既にご説明させていただいた通り、管理職は残業をしても時間外手当は発生しません。そのため、日勤で24時まで残業をした場合は、22~24時の深夜手当のみを算出します。

1,200円×0.25×2時間=600円

深夜帯に休日出勤をした場合

 管理職は、法定外休日出勤や法定休日出勤をしても休日出勤手当は支給されません。よって、深夜帯に働いた時間分の深夜手当のみが発生します。

1,200円×0.25×7時間=2,100円

深夜手当の請求方法

1日単位であれば、深夜手当の額は小さいですが、支払われていない期間が長ければその額は膨大になります。
 そのため、不当に支払われていない管理職の方は、未払いの深夜手当の請求を検討した方がよいでしょう。

 未払いの手当を請求する方法については以下の記事を見ることで、するべきことが理解出来るでしょう

終わりに

 管理職には時間外手当が除外されますが、深夜手当は支給される義務があります。しかし、「管理職には深夜手当を支払わなくてよい」という誤解等が生じ、違法に深夜手当が支給されないケースは少なくありません。
 管理職の方は、勤務形態や待遇についての確認をするとともに、不当に深夜手当が支給されていないようであれば、未払い分の請求を検討しましょう。

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