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知らないと損?未払い残業代と一緒に損害賠償金も請求出来る

更新日:2019年04月23日
知らないと損?未払い残業代と一緒に損害賠償金も請求出来るのアイキャッチ

みなさんは、未払い残業代と一緒に損害賠償金を請求出来ることをご存知でしょうか?
 実は、未払い残業代と一緒に遅延損害金と遅延利息等の損害賠償金を請求出来るのです。

 今回は未払い残業代請求における遅延損害金と遅延利息についてお伝えいたします。

遅延損害金と遅延利息が発生する理由

 はじめに、なぜ未払い残業代と一緒に遅延損害金と遅延利息を請求出来るのか、についてお伝えいたします。

 そもそも労働基準法では「賃金は毎月一回以上、期日を定めて支払わなければならない」といった内容の規定があります。
 会社は、その規定に基づいて労働者と賃金についての契約を交わします。ここでいう賃金には残業代も含まれます。

 未払い残業代とは、その契約に反して賃金を支払っていない状態のことをいいます。つまり、賃金の未払いが遅延しているとも言えます。
 ですので、未払い残業代においては遅延損害金と遅延利息が発生するのです。

債務不履行

 賃金についての契約を交わしたにも関わらず、会社が働いた分の賃金を労働者に支払わない場合は債務不履行に該当します。
 債務不履行とは、契約で生じた自身の債務(特定の人に対して発生する法律上の義務)を履行(契約や約束等を実際に行う行為)しない行為を指します。

 債務不履行には以下の3通りがあります。

■履行遅滞
履行遅滞とは、債務の履行が可能にも関わらず、不履行で期日を過ぎてしまうことを言います。

■履行不能
 履行不能とは、当事者間で債務の履行が不可能になっている状態のことを指します。

■不完全履行
 不完全履行とは、全ての債務が履行されておらず、一部の債務のみが履行されている状態のことを呼びます。

遅延損害金と遅延利息

 債務不履行により貰えるはずの残業代が支払われないと、労働者は生活に支障を来す可能性があります。その場合、債権者(=労働者)は迷惑を被ったとして、債務者(=会社)に遅延損害金と遅延利息を請求することが出来ます。

遅延損害金

 債務不履行が起きていれば、遅延損害金は発生すると考えられています。遅延損害金は基本的に、本来支払われなければならない日から実際に支払われる日(請求日)までの期間に対し適用されます。遅延損害金の年利は6%です。
 遅延損害金は在籍中に請求することが出来ます。

遅延利息

 遅延利息は、退職後に会社に対して請求が可能です。年利は14.6%と非常に高いです。
 遅延利息は、退職日の翌日から実際に支払われる日(請求日)までの日数に応じて適用されます。
 但し、退職後に支払われる賃金については、本来の支払い日から実際に支払われる日(請求日)までの期間に対し、遅延利息が発生します。

遅延利息が発生しないケース

 遅延利息は、やむを得ない事情がある場合は発生しません。
 厚生労働省の規定では、以下が理由で債務不履行の場合は遅延利息が発生しない、と定められています。

■地震や津波等の天災
■会社が「破産手続開始決定」「特別清算開始命令」「再生手続開始決定」「更生手続開始決定」のいずれかを受けている
■合理的な理由によって裁判所または労働委員会で争っている

遅延損害金や遅延利息の請求方法

 では、遅延損害金と遅延利息はどのように請求をすればよいのでしょうか。それらは未払い残業代と同じタイミングで請求をするのが一般的です。
そこで、ここではまず未払い残業代の請求方法についてお伝えします。

【方法①】任意交渉

 任意交渉とは、裁判以外で紛争解決に向けて交渉をする手段のことをいいます。未払い残業代請求においては最も多く行われる解決手段です。
 任意交渉の場合、まずは会社側に未払いの残業代がある旨を内容証明郵便にて送付します。

・内容証明郵便とは

「誰が、誰宛てに、いつ、どんな内容の書類を出したのか」ということを郵便局が公的に証明する郵便です。

 ⒈書類を出したこと

 ⒉書類を出した日付

 ⒊書類の内容

を郵便局が証明してくれます。

【方法②】労働基準監督署を利用

 任意交渉でなくても、労働基準監督署を利用すれば裁判以外で解決出来る場合があります。労働基準監督署は、労働条件の保護や改善、労災保険の給付等を行う組織です。悪質な条件下で労働者を働かせたり、長時間のサービス残業をさせたりと、労働基準法が著しく守られていない会社を監視、指導します。
 但し、労働基準監督には強制力がないため、解決しないケースは少なくありません。折り合いがつかなければ法的手続を踏むことになります。

【方法③】労働審判

 法的手続としてまず挙げられるのが労働審判です。
 労働審判とは、裁判所で行われる紛争手続の1つです。裁判官1名と裁判官2名から構成される労働審判委員会が審理(取り調べを行い事実を明白にすること)します。労働審判でも決定に異議がある場合は、訴訟に移行します。

【方法④】訴訟

 事実確認が混迷を極めたり、労働審判の決定に異議があったりする場合は、訴訟が行われます。訴訟とは、裁判所に法律的な確定を求める手続のことを言います。

遅延損害金や遅延利息を実際にもらえることは少ない

 上記の方法は、遅延損害金や遅延利息をもらえるケースが少ないです。それはなぜなのでしょうか。
 遅延損害金や遅延利息等の損害賠償金は、任意交渉や労働基準監督署の利用、労働審判で解決をする場合、交渉の中でカットされるケースが多いためです。
 訴訟の場合でも、和解するとカットされるケースが多いです。

損害賠償金を請求したい場合は弁護士に相談を

 前述のように、遅延損害金や遅延利息等の損害賠償金を請求出来ない可能性が高いです。損害賠償金も併せて請求したい方は、残業代請求に強い弁護士に依頼することをオススメいたします。弁護士に依頼をすれば豊富な経験を活かして、解決手段に関わらず依頼者に有利に働くように交渉を進めてくれます。
 未払い残業代と併せて、遅延損害金と遅延利息等の損害賠償金を請求出来る可能性も期待出来るでしょう。

遅延損害金を請求出来た判例

 では、実際に遅延損害金を請求出来た未払い残業代問題の判例を、以下にご紹介いたします。

■トラック運転手3名 未払い賃金と損害賠償請求で総額1億円以上の請求

概要
被告会社に雇用されて長距離トラック運転手として稼働していた原告が被告会社に対して未払賃金9,297,149円並びにこれに対する各支払期日(最終のものを除く。)の翌日から最終の支払期日である平成26年4月5日まで商事法定利率年6パーセントの割合による遅延損害金336,995円、及び同月6日から支払済みまで賃金の支払の確保等に関する法律6条1項,同法施行令1条所定の年14.6パーセントの割合による遅延損害金など含めて支払うよう求めた事案。
裁判年月日 平成30年 9月14日

裁判所名 福岡地裁 裁判区分 判決

事件番号 平27(ワ)1246号・平27(ワ)2490号 ・ 平28(ワ)号

事件名 未払割増賃金等本訴請求事件、未払割増賃金等請求事件、損害賠償請求反訴事件

文献番号 2018WLJPCA09149004

付加金が支払われる場合もある

 遅延損害金と遅延利息の他にも、付加金を請求することも可能です。
 付加金とは、裁判所が残業代等を支払わない会社に対し、労働者の請求に基づいて命じる金銭のことを指します。
付加金は、悪質と判断された場合に発生する可能性があり、最大で請求額と同一の金額が命じられます。

 但し、付加金は裁判を起こさないと支払われることはありません。

未払い残業代を損害賠償金で相殺するのは認められない

 これまでは労働者が会社に遅延損害金や遅延利息の損害賠償金を請求する件についてお伝えしましたが、反対に会社から労働者に損害賠償金を請求するケースもあります。

 労働者から未払い残業代の請求をされると、過去の備品破損等を持ち出して、あなたから被害を被ったと主張する会社も少なくありません。そして、会社は未払い残業代を損害賠償金で相殺する主張をしてくる場合があります。

 しかし、損害賠償金と賃金は性質が異なるため原則、相殺は認められません。
 また、備品等の破損であれば、損害賠償金を請求出来るケースは過去の判例で下記のように限られています。

・労働者に故意または重過失(注意を甚だしく欠いた状態)がなければならないこと
・故意または重過失があったとしても、全ての損害を賠償する必要がないこと

上記のような厳しい制限が設けられているため、損害賠償金の請求が認められるケースは少ないと言えるでしょう。
たとえ、労働者が相殺に合意したとしても、威嚇や脅迫を受けての合意であれば、労働者は反論の余地があるでしょう。

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残業代請求弁護士ガイド 編集部

残業代請求に関する記事を専門家と連携しながら執筆中 ぜひ残業代請求の参考にしてみてください。 悩んでいる方は一度弁護士に直接相談することをおすすめします。 今後も残業代請求に関する情報を発信して参ります。

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