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残業代請求で利用される労働審判とは

更新日:2020年12月11日
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 残業代請求の場合、任意交渉(第三者を介さず、労働者と会社が支払いの金額・期限について話し合うこと)で解決に至らないと、次の手段として労働審判が行われるケースが多いです。
 今回は、そんな労働審判についてお伝えします。

労働審判とは

 労働審判は、裁判所の行う紛争解決手続の一つです。解雇や残業代請求等の労働紛争について、裁判官1名と労働関係の専門的知識と経験を持っている労働審判員2名で構成される労働審判委員会が、原則として3回以内の期日で事件を審理(事実関係等を明らかにすること)し、調停(対立する両者の間に入って、妥協点を見い出し、争いが止むようにすること)を試み、または審判(是非や適否等の結論を出すこと)を行う制度です。

換言すると3回以内の期日で、両当事者から直接、自由に事情を聞いて、和解(金銭的解決)を目指す手続です。
 労働審判の期間は、労務安全情報センターの平成22~26年のデータによると『平均74日』(『https://roudou-pro.com/columns/174/』)です。

労働審判の流れ

 ここでは、弁護士に依頼した場合の労働審判は流れを説明していきます。

①弁護士に相談
 弁護士と相談して、依頼する場合は委任契約書を交わします。

②労働審判の申立て
 集めた証拠資料等を基に労働審判申立書を作成し、裁判所に提出します。

③裁判所が申立書を受理
 裁判所は、特別な事情がない限り、労働審判申立書を受理してから40日以内に第1回期日を指定します。
 その際、裁判所は、労働審判申立書・証拠資料の写しと呼出状(裁判所に出頭するよう命じる知らせ)を会社に送ります。
 第1回期日の約1週間前に会社から答弁書と証拠が届きます。
 それを見ながら、第1回期日に備え、弁護士と一緒に検討します。

④第1回期日
 労働審判は原則、非公開で行われます。1回の期日で、1~3時間程度を要します。
 裁判官と審判員が、双方の主張と争点の整理を行い、事実関係を聴取します。
 1回目で解決しそうであれば、第1回期日で調停が成立します。1回目で成立する割合は『30.7%』(『https://roudou-pro.com/columns/174/』)です。成立しない場合は、第2回期日が指定され、第1回期日は終了します。

⑤第2回期日
 2回目で解決しそうであれば、第2回期日で調停が成立します。2回目で成立する割合は『70%』(『https://roudou-pro.com/columns/174/』)です。成立しない場合は、第3回期日が指定され、第2回期日が終了します。

⑥第3回期日
3回目で解決しそうであれば、第3回期日で調停が成立します。成立しない場合は、審判が出されます。

⑦審判
 審判は、裁判の判決と同等の効力を持ちます。
 審判の内容に不服がある場合は、2週間以内に異議申し立てを行います。その際、裁判手続への提起(訴訟や問題を持ち出すこと)があったと見なされ、裁判に進みます。

労働審判のメリット・デメリット

 ここからは労働審判のメリット・デメリットについてお伝えします。

メリット

 労働審判には次のようなメリットがあります。

■早期解決
 原則、3回以内の期日で終了するため、早期解決が出来ます。

■柔軟な解決案
 従業員と会社側双方から選ばれた労働審判員が審理に関わるため、現状の合わせた柔軟な解決案が話されます。

■非公開
 非公開で手続が行われるため、プライバシーが守られます。

デメリット

 一方で、労働審判には次のようなデメリットがあります。

■調停が成立しなければ裁判に移行
 相手側が審判に異議申し立てをした場合は、裁判に移行します。労働審判で行った審理を、再度行うため、手間と時間が生じる可能性があります。

■請求額を満額回収出来る可能性が低い
 労働審判では、双方の歩み寄りが求められるため、請求額よりも減額された和解案で妥協する場合が多いです。そのため、請求額を満額回収出来る可能性が少ないのです。

■解決内容を公表出来ない
 非公開で行われる労働審判は、口外禁止条項が盛り込まれています。そのため、解決内容を周囲に公表出来ません。

■裁判所支部では申立てが出来ない
 労働審判手続は、比較的新しい制度です。そのため、裁判所支部では対応していない場合があります。

労働審判と裁判の違い

 では労働審判と裁判にはどのような大きな違いがあるのでしょうか。次のような違いがあります。

【違い①】期間

 労働審判と裁判では、期間が異なります。
 労働審判は、期日が最長3回なので、3~6ヶ月で終了します。対して、裁判は主張と反論を繰り返す手続きなので長期化する傾向にあります。申立てから解決まで1年半から2年の期間を要します。

【違い②】出廷

 労働審判は、実情に即した解決を目指すため、原則、当事者の出廷が求められます。一方で裁判は、当事者の出廷は求められません。一般的に、弁護士等の代理人が出廷することが多いです。

【違い③】公開・非公開

 労働審判は、裁判所内の個室で開かれるため、非公開です。しかし裁判は、憲法上、公開で行うことを原則としています。そのため、公開の法廷が開かれます。

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