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日給制の残業代の計算方法:日給制でも残業代は発生する

更新日:2021年02月01日
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日給制では、雇用契約書に「残業代は支払わない」という条項があるケースが少なくありません。しかし、労働基準法の「働いた時間分の賃金は支払わなければならない」という内容の規定の方が優先されます。
 そのため、日給制の方でも、残業した分の残業代が支払われる義務があります。

 今回は、日給制の残業代計算方法についてお伝えします。

所定賃金と1日の所定労働時間

 日給制の残業代を計算するためには、まず「所定賃金」と「1日の所定労働時間」を把握する必要があります。それぞれ説明させていただきます。

所定賃金

所定賃金とは、事前に決められている1日あたりの賃金のことを指します。所定賃金は、労働契約書や雇用契約書等に記載されています。

手当と所定賃金

 手当がある場合、所定賃金に含む場合があります。たとえば、役職手当、資格手当、皆勤手当は所定賃金に含まれます。
 一方、以下の手当は労働基準法上、含まないと考えられます。

◆1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(ボーナス等)
◆通勤手当(通勤にかかる費用に対する手当)
◆家族手当(家族を持つ労働者に対する手当)
◆住宅手当(住宅費の負担を軽減するための手当)
◆別居手当(通勤等で家族と離れて生活したことで増加し、生活費に対する手当)
◆子女教育手当(扶養している子供の教育に対する手当)
◆臨時に支払われる賃金(例:結婚手当・出産手当等)

1日の所定労働時間

 日給制が採用されている労働者は、雇用契約書に「残業代は支払わない」という内容が盛り込まれているケースが多いため、1日の所定労働時間(事前に決められた労働時間)を把握していない傾向にあります。
 残業代を計算する際は、1日の所定労働時間を把握しなければなりません。
所定労働時間は、労働基準法で定められた法定労働時間(1日8時間)以内であれば、会社が自由に設定することが可能です。

残業代の計算方法

 所定賃金を把握したら、残業代を計算していきます。
 残業代は、以下の計算式で算出します。

残業代=「①残業時間」×「②1時間当たりの基礎賃金」×「③割増率」

「①残業時間」「②1時間当たりの基礎賃金」「③割増率」を1つずつ見ていきましょう。

①残業時間

 そもそも、残業時間とは、どのような時間のことを指すのでしょうか。
 残業時間とは、所定労働時間を超えて働いた時間のことを指します。
例えば、1日の所定労働時間が8時間で9時間の労働をしたとします。その場合、残業時間は1時間になります。

 なお、残業代は1分単位で支払われなければなりません。ですので、残業時間を算出する際は、30分未満の残業時間は切り捨てる等はしないようにしてください。

②1時間当たりの基礎賃金

1時間あたりの基礎賃金とは、いわゆる時給のことを指します。
日給制の場合、1時間あたりの賃金は、次の計算式から求めます。

1時間あたりの賃金=所定賃金÷1日の所定労働時間

③割増率

残業時間の性質によって、割増率が発生します。以下のような残業の場合、それぞれ異なった割増率が加算されます。

【割増①】法定労働時間を超える残業

 法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超える残業に対しては、1.25倍に割増された賃金が支払われます。所定労働時間が8時間の場合は、全ての残業に対して1.25倍割増された賃金が支払われます。
 例えば、1時間あたりの基礎賃金が1,000円の場合、1,250円の割増賃金が支払われます。

【割増②】法定休日労働

 法定休日(法律上、1週間のうち1日、もしくは4週間のうち4日設けなければならない休日)に労働した場合は、1.35倍に割増された賃金が支払われます。
 例えば、1時間あたりの基礎賃金が1,000円の場合、1,350円の割増賃金が支払われます。

【割増③】深夜労働

 深夜労働とは、22~翌5時の間に働いた労働のことを指します。深夜労働に対しては、1.25倍に割増された賃金が支払われます。
 深夜労働、かつ法定労働時間を超えた残業の場合は、深夜労働の割増賃金だけでなく、法定労働時間を超えた残業に対して割増される1.25倍も加算されます。

 例えば、1時間あたりの基礎賃金が1,000円の人が、深夜労働かつ法定労働時間を超えた残業をすると、「1,000円×1.25×1.25=1,500円」の割増賃金になります。

 なお、深夜労働かつ法定休日労働の場合は、深夜労働の1.25倍の割増賃金だけでなく、法定休日の1.35倍の割増賃金が加算されます。

【割増④】月60時間を超える残業

業態 規模
小売業 資本金5000万円以下、または、常時使用する労働者50人以下
サービス業 資本金5000万円以下、または、常時使用する労働者100人以下
卸売業 資本金1億円以下、または、常時使用する労働者100人以下
その他の事業 資本金3億円以下、または、常時使用する労働者300人以下

 以上の表に当たる大企業の場合、法定休日労働を除く法定労働時間を1ヶ月60時間を超えたら、超過労働に対しては、1.5倍の割増賃金を支払わなければなりません。
 その超過労働が、深夜労働に当たる場合は、その割増賃金である1.25倍が加算され、1.75倍の割増賃金を労働者に支払う必要があります。

日給制の残業代計算例

 以上で説明してきた計算方法について例を交えながら説明していきましょう。
 例えば、以下の労働条件のAさんが、10時間の労働をしたとします。

1日の所定労働時間:8時間
所定賃金:12,000円

 はじめに、残業時間を算出します。実労働時間から1日の所定労働時間を引きます。

10時間―8時間=2時間

 次いで、1時間あたりの基礎賃金を算出します。

1,2000円÷8時間=1,500円

 Aさんの残業は、法定労働時間を超えています。そのため、1,25倍の割増率を加えます。よって、Aさんの残業代は以下になります。

2時間×1,500円×1.25=3,750円

残業代込みの日給制の場合

 残業代込みの日給制の場合は、残業代はどのように算出すればよいのでしょうか。

 例えば、1日の所定労働時間が7時間で、日給10,000円(1時間分の残業代込み)だったとします。この場合、まず所定賃金を把握していきましょう。

 1日の所定労働時間(7時間)と1時間の残業代込みで、日給10,000円です。つまり8時間労働で日給が10,000円です。10,0000円を8時間で割ると、1時間あたりの基礎賃金が算出されます。

10,000円÷8時間=1,250円

 1,250円に1日の所定労働時間(7時間)を掛け合わせると、所定賃金が算出されます。

1,250円×7=8,750円

 そのため、この場合、8時間を超える労働をした場合は、残業代が発生します。8時間を超えるため、法定労働時間を超える労働に該当します。1,250円に1.25倍割増された賃金が支払われなければなりません。

まとめ

 日給制の残業代計算方法についてご理解いただけましたでしょうか。
 たとえ、会社から日給制は残業代が出ないと契約を結んでいても、労働基準法の「労働者は働いた分の賃金が支払われなければならない」という内容の規定が優先されるため、残業代は発生します。
 残業代を計算して、未払い分の残業代を請求してみましょう。その際は、こちらの記事「会社と荒波を立てずに残業代を請求する方法」をお読みください。残業代請求に向けてやるべきことが把握出来ます。

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