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労働基準監督署へのメール相談方法:効果を求めるとバレる可能性は高くなる

更新日:2019年07月02日
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「劣悪な労働環境だからどこかに相談をしたい」

そこで、相談場所になるのが労働基準法に基づいて会社を指導・是正する機関である労働基準監督署です。労働基準館監督署への相談は「窓口」「電話」「メール」の3つの方法があります。相談をしに行くのは敷居の高さを感じるため、一番安易に相談出来るメールを選択する方も少なくないのではないでしょうか。
 今回は労働基準監督署へのメール相談のついてお伝えしたいと思います。

3つの相談方法と異なる優先度

 はじめに、「窓口」「電話」「メール」の優先度の違いに触れていきます。

■窓口
1日でも早く解決したいと考えているのであれば、労働基準監督署に向かい窓口で直接相談した方がよいです。窓口での相談が1番対応してもらう確率が高いです。

■電話
 さしあたって相談してみたいという方は、電話での相談がオススメです。労働基準監督署に行く手間が省けますが、窓口相談ほど優先度は高くありません。

■メール
 「緊急性はないけど、ひとまず相談をしたい」という方にオススメなのがメールでの相談です。時間を問わない上に、労働基準監督署の相談員と直接会話することもないため、気楽に相談出来るのがメリットです。
 ただ、優先度は窓口や電話より低いです。

なぜメールでの相談は優先度が低いのか

 ではなぜメールでの相談は優先度が低いのでしょうか。
 実は、メールと言ってもいわゆる”メールを送る”とは異なります。労働基準監督署の上部組織である厚生労働省のホームぺージに設けられた労働基準関係情報メール窓口に事案を投稿するという一方的な方法です。
 そのため、労働基準監督署には恨みや辛みといったような相談とは言えないもの等、多くの投稿が寄せられるようです。
 窓口相談のように直接顔を合わせることもなく、電話相談のように会話することもないメール相談は匿名性が高いのです。

匿名性が高いと敷居が低くなり、質の悪い投稿が増えるようです。となると、信憑性の低い相談が増え、労働基準監督署は相談というより情報提供として処理する傾向にあるようです。
 つまりメールでの相談は信憑性の低いものと捉えられ、労働基準監督署は動いてくれない可能性が高いのです。

効果的なメールでの相談方法

メール画像

 とはい、メールで相談しても動いてもらえるような効果的な方法があります。それは投稿内容に信憑性を持たせることです。
 上記の画像が投稿フォームになりますが、1つずつ説明していきます。

①会社の情報を明記する

メール画像
 投稿フォームには勤務している会社の情報を入力する欄があります。
 信憑性を持たせるために、必須項目でない「勤務している事業所の電話番号」「勤務している事業所の業種・労働者数」も入力するようにしましょう。
 また、会社の住所は番地やビル名まで細かく入力した方がベターです。

 労働基準監督署が調査をするためには、労働問題のある会社を特定出来る情報を必要としています。ここまでの情報を載せると会社は特定されるため、労働基準監督署も動きやすくなるのです。

②自身の情報を明かす

メール画像
 次いでは、「あなたの氏名・電話番号」の欄になります。
 メールは匿名性が強いので、自身の情報を明かすことをはばかる方は多いでしょう。とはいえ、自身の情報をメールに明記しておくことで労働基準監督署から後日詳細を聞くための連絡が来る可能性が高まるでしょう。そこで、詳細な情報を共有すると労働基準監督署が調査に乗り出す可能性もグッと高まるでしょう。
 そのようにするためには、必須項目ではありませんが、自身の名前、携帯の電話番号等の連絡先を明記しるのがベターです。

③「情報開示の有無」と「情報提供内容」

メール画像
最後に、「情報開示の有無」と「情報提供内容」の入力になります。特筆すべき項目は、「情報提供があったことを事業場に通知することの可否」「情報提供内容」です。

情報提供があったことを事業場に通知することの可否

メール画像

 労働基準監督署にメールを送る際には、「情報提供の開示」について以下の3つのいずれかを選ばなければなりません。

(1)匿名だが、情報提供内容(メールの内容)を明らかにしてよい
(2)匿名だが、情報提供があったこと(メールがあったこと)のみ明らかにしてよい
(3)匿名の上、メールがあったことも明かさないでもらいたい

 この選択によって、労働基準監督署の調査方法は変わります。具体的にどのように変わるのでしょうか。下記のような賃金未払い問題を例にとってみてみましょう

労働時間の管理…タイムカード。上司からは所定終業時間の19時に打刻するよう指示されている。土曜日出勤の際は打刻を禁止されている。

実労働時間を確認出来る証拠…パソコンのログ記録

賃金不払い状況…タイムカードに記録された労働時間分の賃金しか支払われていない

■(1)匿名だが、情報提供内容(メールの内容)を明らかにしてよい
 (1)の場合、メールの内容を会社に開示するため誰が情報提供をしたかバレる可能性があります。ですが、労働基準監督署の人はこのメール内容に基づいてパソコンのログ記録から実労働時間を算出することが出来ます。そのため、残業代の未払いが発生している事実を確認することが可能となり、労働環境の良化に繋がりやすくなります。

■(2)匿名だが、情報提供があったこと(メールがあったこと)のみ明らかにしてよい
 (2)の場合、労働基準監督署は情報を開示できないため、守秘義務を順守するために内容がバレる可能性が出てしまう「パソコンのログ記録を見せてもらえますか」と会社に言うことが出来ません。ですので、(1)と異なる「労働時間を証明するものを見せてもらえますか?」といった言い方になります。そこで、会社がタイムカードしか見せなければ、実労働時間は改ざんされてしまいます。

■(3)匿名の上、メールがあったことも明かさないでもらいたい
 (3)の場合、定期調査の名目等で会社を調査します。すると、会社にとっては危機感がないため、改ざんされたデータを見せて逃れられる可能性があります。
 (1)(2)と比べると、(3)は労働環境の良化を望めないかもしれません。

情報提供内容

メール画像

 労働基準監督署は会社を特定出来る情報だけでなく、「どのような労働問題が起きているのか」という情報も望んでいます。
 下記の情報を載せるのがベターです。

・労働問題の背景
・労働問題の違反の程度
・どの資料をチェックすれば労働問題の事実が分かるか(立入調査した際の参考になるため)

 例えば、次のように簡潔な箇条書きにして明記しましょう。

【就業規則】

所定労働時間…10:00~19:00(休憩1時間)

所定休日…土曜日・日曜日

 

【現状】

労働問題…長時間労働と賃金未払い

部署…営業部

実労働時間…9~22時(休憩1時間)

休日…日曜日のみ

労働問題の要因…退職者がでたことによる人手不足

労働時間の管理…タイムカード。上司からは所定終業時間の19時に打刻するよう指示されている。土曜日出勤の際は打刻を禁止されている。

実労働時間を確認出来る証拠…パソコンのログ記録

賃金不払い状況…タイムカードに記録された労働時間分の賃金しか支払われていない


コチラ
でも記載する際のポイントが載っているので併せてご覧ください。

「効果」と「バレる」は反比例

 前出の「情報提供があったことを事業場に通知することの可否」で触れた通り、情報を開示するとバレる可能性は高くなりますが相談の効果は高くなります。
 対して、情報開示をしないとバレる可能性は低くなりますが相談の効果は期待出来ません。
 「バレる」と「効果」は相反する要素と言えるでしょう。

まとめ

 労働基準監督署にメールで相談をする方法についてお伝えしました。あなたがもしブラック企業で働いており、改善をして欲しいと考えているのであれば、メールでの相談も一案です。
 「効果を求めるとバレる可能性は高くなる」というのも頭に入れた上で、あなたにとって合ったメール相談をしてみましょう。

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