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失業保険を会社都合退職にすると生じる会社側のデメリットとは

更新日:2024年02月10日
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 退職者にとっては、自己都合退職より会社都合退職にする方が失業保険の受給開始日が早まることや受給期間が長くなるといったメリットがあります。
 にも関わらず、会社は退職者を会社都合ではなく、自己都合で退職したことにしようとします。
 それは、なぜなのでしょうか。実は、会社都合退職を認めると、会社にはデメリットがあるためです。

企業が会社都合退職にしたがらない4つのデメリット

 企業が会社都合退職にしたがらないデメリットは以下の4つがあります。

【デメリット➀】助成金が出ないおそれがある

 会社は、助成金を支給されない可能性があるのではないかと、おそれています。
助成金とは、一般的に厚生労働省で取扱っている支援金のことをいいます。助成金は条件さえ満たせば、どこの会社でも貰うことが出来、返済する必要がありません。

 助成金は、求職者がハローワークに提出をする離職票の「離職理由」を参考にして、支給をするかどうかの判断をします。この判断ポイントは「過去1年以内に解雇があったかどうか」です。

 解雇は、雇っていた労働者を一方的に辞めさせることのため、会社都合退職に該当します。そのため、会社都合退職をした労働者がいると助成金が出ない可能性があるため、会社は自己都合退職にしたがるのです。

【デメリット②】労働トラブルが起きたら会社の勝ち目は低い

 雇用に関しての、会社と労働者の民事訴訟(個人間の法的な紛争)となった場合、法律上、労働者が有利な立場になります。会社都合退職を認めてしまうと、労働トラブルが起きた際に、会社の勝ち目は低いです。
 そのため、会社は退職者の退職理由を会社都合退職にしたがらないのです。

【デメリット③】会社の信用低下を防ぐため

 会社都合退職を認めると、「〇〇〇社は、人をよく切っているので、危ない会社」と噂されて会社の信頼低下に繋がったり、今後の雇用にも悪影響が出たりするおそれがあります。
 それらを危惧して、会社は会社都合退職にしたがりません。
 また、銀行に警戒されると、資金の貸し渋り等が発生するため、会社にとっては、会社都合退職は避けたいのです。

【デメリット④】ハローワークや学校との関係維持のため

 「人をよく切っている」という噂が流れてしまうと、会社は、ハローワークや学校との関係が悪化するのではないかとおそれます。もし、おそれていたことが現実化してしまうと、会社は、求職者や学生を紹介してもらえない可能性がでてきます。つまり、良い人材が集まらなくなるという事態に陥るのです。

 そのため、会社は退職時に、「円満退社のため」「次の会社の面接のため」「君の履歴書を汚さないため」等と、自己都合退職に誘導します。

 以上①から④のように、不利益が被るおそれがあるという理由から、会社は退職者を、会社都合退職にしたがりません。
 しかし、理由はこれだけではなく、他にもあります。

企業は事実無根の「会社都合」を、絶対に認めてはいけない

 企業は、事実無根の「会社都合」を絶対に認めてはいけない事情があります。
それは、離職票に事実と異なることが書いてあると、行政から不正受給の違法行為として、会社が処分の対象になってしまうためです。この場合、会社都合と記入した社員も処罰される可能性があります。

・離職票とは
 失業保険をもらう際に必要な種類です。退職後、10日前後までに、退職した会社から封書等で届きます。

自己都合退職を会社都合退職に変える手段

 ですので、会社都合で辞めるときは、希望退職や退職推奨を受けた際などの整理解雇(リストラ)等、正当な理由がある時にしましょう。
 その場合は、会社を辞める際は自己都合退職にして、後日、ハローワークで会社都合退職に変更するという手段があります。この方法については下記で詳しく説明しているので、ぜひご覧ください。

労働問題に関する困りごとは弁護士への相談も検討しよう

会社都合で退職を希望するには、正当な理由が必要になります。

退職理由が会社都合にできるかどうかの判断で迷った場合は、弁護士に相談することをオススメします。

法律のプロである弁護士なら、個々の状況に合わせて相談に乗ってくれるだけでなく、労働上で起きやすいトラブルを未然に防いでくれます。

労働トラブルに詳しい弁護士に事前に相談しておくのがおすすめです。

弁護士費用が不安な方は"弁護士保険"の加入がオススメ

弁護士に相談する前に、弁護士費用が不安な方はベンナビ弁護士保険の利用を視野に入れてみましょう。

あらかじめトラブル発生する前に弁護士保険に加入しておくことで、いざという時の高額な弁護士費用を補償してくれます。

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編集部

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