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残業代の時効2年を中断させる方法とは?2年以上の残業代請求も可能?のアイキャッチ

残業代の時効2年を中断させる方法とは?2年以上の残業代請求も可能?

残業代の時効2年を中断させる方法とは?2年以上の残業代請求も可能?のアイキャッチ

みなさんはこのような経験ありませんか?

未払い残業代を支払ってもらえず悔しかった…。
会社を辞めて、しばらくしてから残業代がおかしいことに気づいた…。

残業をしたのにも関わらず、その分の残業代が支払われないのはれっきとした違法です。しかし、会社は知らないフリをする等して誤魔化すことがあります。

最近の情報では、ヤマト運輸が190億円の残業代未払いがある等、ブラック企業による残業代の未払いは多くなっています。
そんな不当な会社に対して「残業代が出ないのは仕方ない…。」と諦めてはいけません。労働者は働いた分を会社に請求する権利があり、証拠さえあれば、その請求は認められ未払い金は必ず戻ってきます。

ただ唯一、ネックなのは未払い残業代の請求には時効があるということです。「気まずいから後でいいや。」「退職してから請求しよう。」等と考えていたら、時効によって請求ができなくなってしまいます。

しかし、時効には「中断」をできる方法があります。請求するなら早めに請求をした方がよいのですが、この「中断」を知っておくことで、適切に未払い残業代の請求が出来ることもあるので、今回はそのことについて説明していきます。

残業代請求の時効は2年

労働基準法第115条では時効について、このような規定があります。

この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によって消滅する。

これは退職手当を除く賃金は2年間の時効で消滅することを意味しています。すなわち、残業代が2年で時効成立するということです。例外で3年のケースもありますが、ほとんどの場合は2年だと思ってよいでしょう。

時効2年のスタートはいつから?

 時効は「権利を行使することができる時から進行する」とされています。
これが少し分かりづらいので簡単に言うと、未払い残業代を請求できるときからスタートして、2年後に時効が成立するということです。

これを以下の例にて説明します。

Aさんの場合

 Aさんが働いている会社は、毎月20日に給料が支払われ、残業代も給料と一緒に支払われる規定になっています。
2017年5月20日に支払われなかった残業代は、2年後の2019年5月20日に時効を迎えます。
すなわち、2017年5月20日に支払われるべきだった未払いの残業代は、2019年5月20日までに請求しないと、消滅時効を迎えて成立してしまいます。

時効が3年になる場合もある

 基本的には時効は2年なのですが、会社側に不法行為があって、不法行為に対する損害賠償として3年の時効を適用させた判例が過去にありました。
以下のケースだと不法行為に該当する場合があります。

労働者が残業時間の管理をちゃんとするように会社に言った。

会社がこれに対応をしなかった。

残業代の計算自体ができない状態が続いた。

労働者が残業代を請求できない状態が続いた

 残業代請求権の時効制度は、請求出来るのにしなかった人に対しては該当するのですが、請求する努力をしていたのに、会社に応じてもらえなかった場合は、この時効が適用しない場合があります。

 そのため、上記のケースは不法行為による損害賠償請求である時効3年が適用されました。しかし、個別のケースによって、これは変わるので基本的には時効2年だと思っておいた方がよいです。

時効を停止(中断)する方法とは?

 ほとんどの人が考えることだと思いますが、請求するなら働きにくくなることも考えて退職してから請求したいですよね。しかし、そんな労働者の心理とは裏腹に、未払い残業代請求の時効が2年しかないのは、とても都合の悪いことです。

 どんな事情があろうと時効の進行を許してしまうと、2年間粘った会社が有利になってしまい労働者には、あまりにも不公平です。

 そのため、時効には停止(中断)を出来る制度があります。これをすることによって進行している最中の時効を一時停止することが出来ます。
中断の方法として「請求」「承認」の2種類があります。

1. 請求

 言葉のイメージで「請求」というと、相手に要求することを意味しますよね。ところが、ここでいう「請求」とは「裁判上の請求」の事をいい

請求=裁判所手続き(訴訟、労働裁判、調停など)

を意味しています。そのため、口頭や書面で直接会社に請求しただけでは、請求とはならず、裁判所に訴える必要があります。

では、自分で会社に請求するのは意味がないかというとそういうわけでもなく、効果はあります。
自分で会社に直接請求する場合は「催告」と呼ばれます。

「催告」も時効中断できる

 催告には、時効を6ヶ月間成立させない効果があります。したがって、時効間近で会社に未払い残業代を請求すると、6ヶ月は時効が進行中になりません。しかし、どの日に催告したのかが分かる証拠が必要となります。なので、催告は労働者が内容証明郵便で行うのがよいです。

・内容証明郵便とは

「誰が、誰宛てに、いつ、どんな内容の書類を出したのか」ということを郵便局が公的に証明する郵便です。
・書類を出したこと
・書類を出した日付
・書類の内容
を郵便局が証明してくれます。

時効まで時間があれば、催告をしなくても裁判所に訴えることが出来ますが、時効が近い時はとりあえず催告するということが大切です。
「とりあえず催促ってどうなの?」と思うかもしれないので、催告の有効性についての例を示してみます。

労働者が未払い残業代の金額や内訳が分からないけど、勤怠記録などに算出する資料は会社が持っていて、請求する労働者に具体的な金額や内訳まで要求するのは酷だとして、特定日からの未払い残業代を支払えとだけ請求した、簡易な文書を催告として認めました。

 この例から、金額が不明でもとりあえず会社に催告しておくことは大切なことが分かるかと思います。自分で証拠を集めて請求するのが正しい手順ですが、難しくても時効を迎える前に請求しましょう。

→残業代の計算方法はこちらで詳しく解説しています。

2. 承認

 「承認」とは、会社が未払い残業代を認めることをいいます。例えば、以下の場合が承認となります。

会社側で未払いがあることは分かったけど「すぐに支払えないから分割にしたい。それか、後日支払うので待って欲しい、」と未払い残業代を認めたうえで交渉してきた。

 この場合は承認となり、時効が中断します。未払い残業代を認めて、その一部でも支払った場合も承認になります。なので、未払い残業代は支払っていなくても「認めた」という事実が時効を中断させることが出来ます。

 また、承認は時効成立後でも有効になる点が特徴です。

例えば、未払いの残業代が4年分あるとして、本来は時効の2年分しか請求出来ませんが、試しに5年分請求したとします。
会社側が時効を知らずに、5年分の未払い残業代があることを認めれば、それだけで5年分の未払い残業代を請求出来ます。

これは、会社が「時効の援用」をしなかったとも言えます。

時効の援用について

 「時効の援用」とは、時効の制度を利用する意思を相手に伝えることです。この場合だと、会社が労働者に「残業代請求は時効2年」であることを伝えることに当たります。
しかし、労働者が4年分の残業代を請求して、会社が「2年の時効」を知らずに4年間の残業代の支払いにうっかり応じてしまった場合、2年以上の残業代を受け取れることがあります。

ただし、ほとんどの会社では、社労士や顧問弁護士を雇っているので、時効のことを知らずにそのまま応じてしまうことは、まずあり得ないと思った方が良いです。

弁護士が時効中断の相談に乗ってくれる

 時効の中断について説明してきましたが、いざ時効の中断を試みようと思っても具体的に何をすればよいか戸惑われるかと思います。その場合はまず法律の専門家である弁護士に相談することをお勧めします。

 弁護士でしたら、時効の中断についても相談にのってくれるうえに、残業代の計算から請求の手続まで、その人にあった的確なアドバイスをしてくれます。

まとめ

未払い残業代の時効が2年であることや、時効を中断出来ることを知っている方は少ないかと思います。これらのことを知らずに未払い残業代の請求を諦めて泣き寝入りした人もいるでしょう。

しかし、時効の中断と援用を知れば行動出来ることはあるのです。本記事が残業代請求するうえの一助になっていただけたら幸いです。

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