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未払い残業代請求権の時効の注意点は「成立期間」「起算点」「中断」

更新日:2020年07月31日
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 以前、某大手広告代理店が問題になりましたが、サービス残業をさせているブラック企業が非常に多いです。残業代を支払われていないなら、労働者は会社に過去の分も含めて残業代を請求出来ることをご存知ですか?

 そこで気をつけなければならないのは、未払いの残業代の請求権には「時効」があるということです。とはいえ、未払い残業代請求を考えている方の中には、「気まずいから退職する時にまとめて残業代を請求しよう」「残業代の請求の仕方が分からないから色々落ち着いたら考えよう」等と、後回しにしている方が多いようです。
 それでは、後回しにしているうちに時効が進んで、もらえるはずの残業代をもらう機会を逃してしまいます。

 そこで、未払い残業代請求権の時効についての知っておくべきがあります。それは時効の「成立期間」「起算点」「中断」の3つです。
 本記事ではそれらのついてお伝えしていきたいと思います。

時効の成立期間

 時効の成立期間は、2020年3月までは2年でした。ですが、2020年4月からは3年に延長されました。
 2年から3年に延長された経緯についてはこちらの記事『未払い残業代請求の時効は「5年」ではなく「3年」:その理由とは?』で詳しく説明をしています。

3年分を請求出来るのは2023年4月以降

 2020年4月1日になったら、直ちに過去3年分の未払い残業代を請求出来ると考える方もいるのではないでしょうか。
 しかし、3年の消滅が適用されるのは、2020年4月以降に支払われる賃金です。例を挙げて説明していきます。

■2020年4月に未払い残業代を請求した場合
請求が可能な期間は2018年4月~2020年3月の2年間

■2021年4月に未払い残業代請求をした場合
 請求が可能な期間は2019年4月~2021年3月の2年間

■2022年4月に未払い残業代請求をした場合
請求が可能な期間は2020年4月~2022年3月の2年間

■2022年10月に未払い残業代請求をした場合
 請求が可能な期間は2020年4月~2022年9月の2年6ヶ月間

■2023年4月に未払い残業代請求をした場合
 請求が可能な期間は2020年4月~2023年3月の3年間

つまり、労働者が3年分の未払い残業代を請求出来るのは、2023年4月以降になります。

時効の起算点

 では、時効はいつからスタートするのでしょうか。
 このスタート時点のことを起算点と呼びます。起算点は、「給料日の翌日」です。例えば、給料日が毎月25日の場合は、26日が起算点です。

時効の中断(停止)

 時効には成立期間がありますが、それを中断(停止)する制度もあります。時効を中断する方法は、主に

【1】催告
【2】労働審判の申立て

があります。1つずつ見ていきましょう。

【1】催告

催告
 「催告」では、上記のように催告をした時点から時効を半年間延ばすことが可能です。催告には、時効を6ヶ月間成立させない効果があるためです。
 催告する方法として最もベターなのが、会社に内容証明郵便を送ることです。

・内容証明郵便とは
郵便局が公的に「誰が誰宛てに出したか」「書類を出した日付」「書類の内容」を公的に証明する郵便のことを指します。

【2】労働審判の申立て

労働審判の申立て
 残業代請求においての労働審判とは、裁判所に行って、あなたと会社、裁判官等の専門家で事実確認をし、未払い残業代の支払いの必要性や支払う残業代の額を決定することです。 労働審判が確定してから2年間時効が延長されます。
 また、労働審判の際は以下の書類を裁判所に持っていくことで、申し立てることが出来ます。

・申立書(申し立ての趣旨・理由等を書く書類)
・会社の商業登記謄本または登記事項証明書
・雇用関係についての証拠書類

未払い残業代がある場合

 さて、時効について話を進めてきましたが、実際に未払いの残業代がある場合はどのようにすればよいのでしょうか。

①労働基準監督署に相談

 会社を管轄する労働基準監督署(労基署)に相談するというのが一手です。相談をし、労働基準法違反があるかもしれないという判断が下れば、労働基準監督署は、会社を調査し、もし違反の事実が明確になれば会社に指導や是正勧告が出されます。

 すると、会社は自主的に、労働環境を改善したり未払い残業代の支給をしたりする場合があります。

→労働基準監督署についてはこちらの記事で詳しく説明をしています。

②残業代請求

 未払い残業代を請求するという方法もあります。
 そのためにはまず、証拠集めが必要です。これは、立証責任(確実な証拠で証明する責任)が請求者にあるためです。
 既述していますが、一般的に証拠として以下のものが証拠になるでしょう。

・タイムカード
・日報
・業務メール
・シフト表

 まずは、以上の証拠になるものを入手したうえで、こちらの記事「会社と荒波を立てずに残業代を請求する方法」を読んでみて下さい。残業代請求に向けてするべきことが理解出来るでしょう。

まとめ

時効が2年しかないことから、残業代請求をするのに時間がかかってしまうと時効が過ぎてしまうことがあります。また、退職後に残業代請求をするとなると損をしてしまうのは労働者です。損をしないためにも、事前に証拠は取っておくとよいでしょう。
 

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